新型コロナ自粛中のハワイでの過ごし方をインタビュー(森出じゅんさん編)

新型コロナ自粛中のハワイでの過ごし方をインタビュー(森出じゅんさん編)

ハワイ在住のアーティストや著名人に、コロナ禍での過ごし方、今後の活動などをインタビュー。第5回めはハワイの歴史・文化に詳しいライター、森出じゅんさんです。

公開日:2020.08.10

更新日:2020.12.01

アロハストリート・インタビュー

※この記事は2020年8月10日に公開したものです。

 

アロハ! エリカです。

世界中に大きな影響を与えた新型コロナウィルス(COVID-19)。ハワイでも3月26日から6月30日まで自宅待機措置が実施され、8月10日現在でも公共でのマスク着用や州外から到着した場合の隔離措置が義務付けられています。

そんな中、アロハストリートではハワイで活躍するアーティストや著名人の方にインタビューを実施。それぞれのロックダウン中の過ごし方や考え方の変化、現在のライフスタイルなどについて伺いました。

第5弾はハワイの歴史・文化に詳しいライター、森出じゅんさんです。

■森出じゅん / Jun Moride

■森出じゅん / Jun Moride

オアフ島ホノルル在住。横浜出身。青山学院大学法学部卒業後、新聞・雑誌・広告のライターとして活動。1990年、ハワイ移住。フリーランスのジャーナリストとして活動するかたわら、ハワイの文化や歴史、神話・伝説、民間伝承を研究中。単に「美しいハワイ」にとどまらないハワイの奥深い魅力、真の姿を日本に発信すべく、執筆を続ける。2012年からハワイ州観光局の文化啓蒙プログラム「アロハプログラム」講師。著書に「ミステリアスハワイ」(ソニーマガジンズ刊)、「ハワイの不思議なお話」(文踊社刊)がある。

☆【アロハストリート連載】森出じゅんのハワイ歴史&神話散歩>>
☆ブログ「森出じゅんのハワイ生活」>>

☆ハワイ州観光局アロハプログラム>>

 

ハワイ王族の息吹を感じられる散歩コースを楽しむのが日課に。

───じゅんさん、アロハ! ステイホーム期間中はどのように過ごされていましたか?

じゅんさん:じつは、ハワイがロックダウンになる2日前に日本からハワイに帰ってきたので、2週間自宅で自主隔離していました。自主隔離が終わった後も、引き続きハワイはステイホーム期間だったので自宅にいることが多かったのですが、週に3、4日は早起きして散歩するのを日課にしていました。

 

───早起きして散歩、良いですね!

じゅんさん:ライターって「勉強しては書く」という感じで引きこもりがちなんですよ…なんだかくたびれちゃう感じ(笑)。だから、コロナウィルスの影響でイベント取材やセミナーがどんどんキャンセルになったのは残念ですが、そのおかげでのんびり散歩ができる時間が持てたことは良かったと思っています。

 

───お気に入りの散歩コースはありますか?

じゅんさん:自宅があるダウンタウンからヌウアヌ方面とアラモアナ方面に向かう2つのコースを楽しんでいます。

ひとつはヌウアヌコースで、出雲大社から始まり、フォスター植物園、王家の霊廟、神話に出てくるクナヴァイの泉、ラニフリという山を仰ぎながら通るコース。もうひとつは、カメハメハ4世とエマ王妃ゆかりのセント・アンドリュース教会、ハワイ王朝最後の王・リリウオカラニ女王が住んでいたワシントン・プレイス、オアフ島で一番古いカワイアハオ教会やイオラニ宮殿、リリウオカラニ女王の銅像、聖ダミアンの銅像を巡るコースです。どちらもハワイ王族と神話の息吹を感じられるコースで、心身ともに活力をもらいましたね。

 

リリウオカラニ女王像

50人以上の王族が眠る王家の霊廟

 

───まさにハワイ王国史跡・神話コース! 私もジュンさんに案内してもらいたいです。

じゅんさん:普段何気なく通っている道も、至る所にハワイの歴史が散りばめられているんです。今後の執筆活動に生かすためにも、各スポットで写真を撮影することが増えました。

あとは、今まで機会がなくて読んでいなかった難しくて分厚い歴史系、神話系の本を毎日1〜2時間かけて読んでいました。以前は、「書くために読む」ことが多くて無意識に飛ばし読みする部分がありましたが、今回はそれぞれの本を隅々まで読むことを心がけました。こういう時だからこそ「この本読んでよかった!」というものを何冊もインプットできたのは本当に良い経験でしたね。

 

───自粛期間中に読んだ本の中で、とくに印象的だったものは?

じゅんさん:19世紀のハワイ語の新聞や書籍を比較検討し、カラカウア王を再検証するというテーマの本を読んだのですが、この本のお陰でカラカウア王という人の本質を改めて深く学ぶことができたと思います。

第7代国王、カラカウア王は「メリーモナーク(陽気な王様)」というあだ名がありますが、じつはそれはカラカウア王の本質ではなく、作られたイメージ。そのイメージばかりが後世に残っている気がして…私は、イオラニ宮殿のドーセントもしているので、ツアー参加者にカラカウア王の本来の姿を伝え汚名をはらさなきゃと思うようになりました。

 

───ハワイの歴史は奥深いですね…。ジュンさんがドーセントを担当するイオラニ宮殿のツアーでは、これまで以上に掘り下げた内容が聞けそう!参加してみたいです。

じゅんさん:イオラニ宮殿の日本語ドーセントツアーが再開したらぜひ! 日本語ツアーは1日に1回あって、水曜が私の担当です。なので、今回の自粛中に得た知識をそこでも生かせられれば良いなと思っています。

 

───ツアーが早く復活すると良いですね。イオラニ宮殿が資金難だというニュースを見たのですが…。

じゅんさん:旅行者がいない今、資金調達が厳しくボランティアに頼って宮殿を公開している現状です。ハワイのレストランやショップなどのビジネスも大変なのは理解していますが、それ以上にイオラニ宮殿といったハワイの宝を失いたくないです。私はハワイに住まわせてもらっている日本人だからこそ、そういう宝を守って行くという気持ちを常にもっているべきだと思うんです。

 

イオラニ宮殿

じゅんさん:イオラニ宮殿は王族が実際に時間を過ごした空間で、国が倒れた後は政府の持ち物でした。1970年代から博物館になり一般公開されるようになったんですが、そうやって140年近く持ちこたえてきたハワイ王国の宝がまた倉庫にいれられちゃったら悲しいじゃないですか…。これからも博物館として機能していくように頑張ってほしいし、私もボランティアとしてサポートしていきたいと思っています。

 

───ハワイの歴史的建造物はぜひ残してもらいたいですね…。

じゅんさん:つい先日、ビショップ・ミュージアムも訪れたんですが、日曜日なのに人が全然いなくて寂しかったです…。これまで何十回も行ったことがあるけど、久々に訪れ館内をよく見てみると、カメハメハ大王の羽毛のマントや、ハワイ島の大酋長がキャプテンクックに進呈した羽毛のマントなど、それはそれは素晴らしい「本物」がいっぱい保管されていることを改めて実感しました。

だからハワイ旅行が再開したら、日本の皆さんにもぜひ訪れていただきたいです。そして、できればドーセントツアーに参加して、ハワイの過去を理解してもらえると嬉しいです。

 

当たり前が当たり前じゃない…贅沢な毎日に慣れてしまっていたことを痛感。

───ご家族と過ごす時間も増えましたか?

じゅんさん:「みんなで運動しよう!」とハイキングに行ったり、家で一緒にごはんを食べたりとこれまで以上に家族で過ごす時間が増えました。
外食がずっとできず家で自炊することが多かったので、料理のレパートリーも増えて家族にものすごく喜ばれました。今までは「美味しいものは買ってくれば良い」と思っていたけれど、「家で美味しいものを作る」というコミットメントが芽生えましたね。

  • じゅんさんお手製のスパニッシュライス

  • 炊飯器で作ったアップルケーキ

じゅんさん:あと、パン焼き機を5年前に購入してから一度も使っていなかったんですが、自粛中に主人がそれを使ってパンを焼き、焼き立てのパンをみんなで食べるのが毎週末の儀式みたいになっていました。いつもはなかなか起きてこない息子まで、美味しいパンを食べたいがために部屋から出てくるんです(笑)。みんなで週一の楽しみを作る…それが生活のアクセントになって良かったです。


───素敵な家族時間ですね! レストランでテイクアウトはされましたか?

じゅんさん:たまにレストランでテイクアウトして贅沢することもありました。「とんかつ 銀座梅林」のランチメニューがお気に入りで、3回程テイクアウトしました。あとは、カパフルとモンサラットにある「ハワイ寿司」でロールや握りをテイクアウトすることもありました。両方日本の味がお得に食べられるのが嬉しかったです。

  • ワイキキの銀座梅林のテイクアウト弁当

  • カイムキのハワイ寿司

───パンデミック前と後の心の変化はありましたか?

じゅんさん:「当たり前が当たり前じゃない」ということを痛感し、自分がこれまでいかに素晴らしい人生を過ごしていたかということに気づけました。

じつは、2週間前に主人が仕事でハワイ島ヒロに日帰りで行くというので、一日遊ぶつもりで私もついていったんです。ところが、飛行機の中や空港は緊張感がものすごく漂っていたり、お店は営業時間を短縮していて街中はガランとしていたりで、せっかく大好きなヒロに行ったけどウキウキ気分になれなくて…。まだバケーション気分で訪れる段階じゃないことを痛感し、用もないのに離島にいくのは不謹慎だと思いました。

好きな時に旅行したり疲れた時は外食したりと、自由自在にしたいことを何でもできる贅沢な毎日に慣れてしまっていたことに気づき、これまで当たり前だと思っていた日常に感謝できるようになりました。あとは、いつでも帰れると思っていた日本に帰れないことで、日本への恋しさが増しましたね。

───ジュンさんの今後の活動について教えてください。

じゅんさん:2月末に「やさしくひも解くハワイ神話 」という新刊を出版したのですが、そこで書けなかった内容を新たに執筆し、新刊を出版できたら良いなと思っています。

昨年7月〜12月にかけて6カ月で執筆というタイトなスケジュールで完成させたこともあり、出版した後は無気力状態で「もうしばらく書けない」と思っていました…。でも、この自粛期間が良い意味でリハビリ期間になったので、また書きたいという気力が戻ってきたんです!

「やさしくひも解くハワイ神話 」

 

───私も新刊を拝読させていただいたのですが、ハワイにまつわるいろんな神話が出てきて面白かったです。

じゅんさん:ありがとうございます。クアロアのチャイナマンズハット、パンチボウルの丘、ヒロのレインボーフォールなど、人気の観光地の神話も盛り込んでいるので、ハワイのエキスパートになったような気分でいつもと違ったハワイを楽しんでもらえたらと思います。

 

ハワイ島ヒロのレインボーフォール

 

じゅんさん:あと、9月19日(土)にオンラインセミナーを開催することになりました。
オアフ島でも指折りの神話の里、カネオヘ・クアロア・ノースショアに焦点を当て、神話・伝説とその舞台をご紹介します。「やさしくひも解くハワイ神話 」の制作中のこぼれ話もさせていただく予定です。

※こちらのセミナーは中止になりました。(8月31日現在)

 

───オンラインセミナー楽しみですね! では最後に、日本の皆さんへメッセージをお願いします。

じゅんさん:もし旅行が再開したら、ビーチを楽しむのも良いですが、島の歴史などいろんな側面でハワイを知って、ハワイを愛してもらえたら嬉しいです。日本とハワイ、お互い離れ離れになっていて寂しいですが日本とハワイの愛は永遠だと思っています。必ずまた楽しい時期はやってくるので、それまで一緒に頑張りましょう!

 

───じゅんさん、本日はどうもありがとうございました!

 



★インタビューを終えて…

「資金難に陥っているイオラニ宮殿やビショップ・ミュージアムといったハワイの宝を失いたくない…」と語っていたじゅんさん。ハワイの歴史に精通しているじゅんさんだからこそ、その貴重さと失うことへの恐怖を誰よりも痛感しているのだなと思いました。私もハワイの宝を守るために、できる限りのサポートをしていきたいです。また、自粛期間中にハワイの歴史&神話に関する知識をたっぷり吸収し、さらにパワーアップしたじゅんさんの今後の活動にも期待しています!どうもありがとうございました。

 

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