新型コロナ自粛中のハワイでの過ごし方をインタビュー(クリス・ゴトウ編)

新型コロナ自粛中のハワイでの過ごし方をインタビュー(クリス・ゴトウ編)

ハワイ在住のアーティストや著名人に、コロナ禍での過ごし方、今後の活動などをインタビュー。第二回めはアーティストのクリス・ゴトウさんです。

公開日:2020.07.23

更新日:2020.12.01

アロハストリート・インタビュー

※この記事は2020年7月23日に公開したものです。

 

アロハ! ヒロヨです。

世界中に大きな影響を与えた新型コロナウィルス(COVID-19)。ハワイでも3月26日から6月30日まで自宅待機措置が実施され、7月16日現在でも公共でのマスク着用や州外から到着した場合の隔離措置が義務付けられています。

そんな中、アロハストリートではハワイで活躍するアーティストや著名人の方にインタビューを実施。それぞれのロックダウン中の過ごし方や考え方の変化、現在のライフスタイルなどについて伺いました。

第2回めはハワイのサーフアートシーンで注目のクリス・ゴトウさんです。

■クリス・ゴトウ/Kris Goto

クリス・ゴトウさん

9歳まで日本で育ち、その後香港へ移住。高校時代をニュージーランドで過ごし2006年にハワイへ移住し、2014年頃からサーフアートをスタート。企業やアートショップとのコラボレーションも多い注目のアーティスト。

クリス・ゴトウさんのオフィシャルホームページはこちら>>

クリス・ゴトウさんのインスタグラムはこちら>>

アーティストはエッセンシャルワーカー

───アロハ! クリスさん。コロナウィルスの影響でロックダウンとなった期間はどのように過ごされていましたか?

クリスさん(以下クリス):3月、4月はずっと作品の制作をしていました。私は制作中はこもるタイプなので、基本的にいつも自粛生活みたいなものでしたね。旦那に「外に行けっ!」っていわれないと出ないタイプです。

───じゃあ外出できなくてもあまり問題はなかった?

クリス:でも外に行けるオプションがなくなると行きたくなる。そういうリバースサイコロジーみたいなのがメンタル的にありました。それから知り合いに会った時の対応にも困りましたね。顔見知りの人にハグができないくて遠くからエアーハグになっちゃったり、友だちの誕生日に車で近所まで行ったけど、レイを近寄って首にかけてあげられないから「おめでとー!」って言いつつ輪投げのように投げたり(笑)。

クリス・ゴトウさん

───レイを投げる!?でもソーシャルディスタンスを保ったり生活が一変しましたよね。ロックダウンになってアーティストの方にも大きな影響が出たと思うんですがいかがでしたか?

クリス:意外に忙しかったです。ロックダウンになった時、経済がこれからダウンするとアート関係が最初に打撃を受けるかな?と思ったけれど、結局私は全部の仕事がキャンセルなしで継続することになったので、本当にありがたかったです。

───確かにありがたいことですよね。

クリス:そうですね。こういう状況だから、延期にしてもいいよっていう提案も私からしたんですけど、依頼主は「大丈夫!」と言ってくれて逆に励まされましたね。それから、ウエブサイトでアートプリントなどをご覧になっていただく方が増えたようにも感じられます。

 

クリス・ゴトウさんのオフィシャルサイト

クリス・ゴトウさんのオフィシャルサイトでは作品のプリントやグッズなどが購入できる

 

───経済状況が悪化すると、アートやエンターテインメント界にとって大きな打撃になるのでは?と思っていたので意外です。

クリス:ギャラリーやショップは影響が大きかったですね。自粛期間中クローズしていたお店は、再オープンした時にインスタで告知したりして、できる限りのサポートをしています。そういえば友達が送ってくれた雑誌の記事か何かで読んだんですけど、エッセンシャルな職業とノンエッセンシャルな職業が書いてあって、そこにアーティストはノンエッセシャルの1番めに入っていたんです。「エッセンシャルだよっ!」って思いました。例えば映画鑑賞や音楽を聞く時は、何かしら心の拠り所を探している時が多くないですか?それに関わっている人たちはみんなアーティストだよって。

───これを機にアートの重要さについて、多くの人に気がついてほしいですね。

クリス:こういう時だからこそ頼れるのはアートだと思うんです。癒やしというか。音楽もそうですよね。本を読むのも、映画を見るのも全部アート。だからアートがなくなったら、どないするねんみたいな(笑)。

アートは自由自在。枠にとらわれないようなアートをさらに意識して

───最近のインスタを拝見すると、漫画のようなイラストをアップされていましたね。

クリス:あれはコロナ前に一緒にお仕事させていただいた「シェフズ・ポケ&スシロール」さんとの仕事で描かせてもらったものです。何でもしていいよって言われて「遊び心何%まで解放していいですか?」って聞いたら「100%解放していいよ」っておっしゃってくれて

よっしゃーーー!! みたいな。

  • クリスさんのユーモアが感じられるポケと友だちになる方法

  • テーマはポケ&ロールと落ち着ける場所トップ5。場所という言葉の意味に囚われずに描いたのだそう

───遊び心解き放れていました(笑)。一瞬レシピかな?と思いました。

クリス:ポケが生きている人みたいな感じで、リアルじゃないけどリアルっぽく描いたらおもしろいかなと。これから食べられるっていうのにめっちゃポジティブなポケとか。あのイラストはシェフズ・ポケ&スシロールさんの弁当の蓋の裏側についてるんです。私は本とか漫画とか読みながら食べるタイプなんですが、何かをしながら食べる人って多いじゃないですか。だから食べながら、ふふふと笑って読めるようなものがあるとうれしいなと思って。あ、でも本気にとらないでほしいです。しょうゆリバーなんてないので(笑)。でもアートって、自由自在で枠にとらわれなくていいんじゃないかなぁって、前から思ってはいましたが、今年に入ってさらに意識するようになりました。

───今日インタビューさせてもらっているYWCAオアフさんの壁画は最近の作品ですよね。

クリス:そうです。規制が緩和された6月の初旬にスタートして、10日か11日間くらいで描きあげました。YWCAオアフの120周年を記念して描かせてもらった壁画です。

YWCAオアフのクリス・ゴトウさんの壁画

───そんなに短期間で!?

クリス:私もびっくりしました。屋外やぼこぼこしてる壁だと、ブラシから断末魔の叫び声(笑)が聞こえてきそうなぐらい削れちゃうんですが、ここの壁はやさしくて、ブラシが全然傷まず描きやすかったですね。

───壁画には個性豊かな女性たちが描かれていますね。

クリス:壁に描いた7人の女性は、YWCAオアフの発足や歴史に関わった女性たちなんです。YWCAの人たちって団結力が強くて、女性意識が高い人がいっぱい。お互いのことを思いやっていて、強い女性だなぁって。勉強になったし、壁画は結構きついので、たまにきつすぎると泣きながら描いたりすることもあるんですけど、ここはすごく楽しかったです。描かせてもらってるな、支えてくれる人がいるなってことを改めて実感させてくれたプロジェクトでした。

YWCAオアフのクリス・ゴトウさんの壁画

YWCAオアフの壁画に描かれている女性たちのプロフィールや制作の様子はこちらから>>

───今後のお仕事の予定は?

クリス:また3週間以上スタジオにこもる生活ですね。でも仕事が途切れたら、自分のための絵が描けるなとウキウキしています。

───自分のための絵というのはまたテイストが違うんですか?

クリス:人体とか解剖学とか好きで。内臓とかそういうちょっと気持ち悪く思われるかもしれないことに興味があるんです。サーフ系のアートってメンタル的にポジティブでヘルシーじゃないですか。自分のために描く絵はダークなので、その両方があることで自分のバランスがうまくとれるんです。

───その絵は公開される予定はありますか?

クリス:ないですね。親しい友達が家に来たら見せるぐらいかな。今のご時世、みなさんポジティブな絵をみたいと思うから公開しているのはサーフアートですね。コロナで生活がガラっと変わっちゃったし、ポジティブマインドじゃないとやってらんないなーって思うし。

───なるほど。では新たにチャレンジしたいことは?

クリス:ビショップ・ミュージアムとのお仕事で、ハワイの自然やコミュニティについて知識豊富な方たちと出会える機会があったんですね。その方たちとお話させてもらって、コミュニティをもっと強く団結できるような、教育しつつ教育されつつお互い感化されるようなことをしていきたいなって。アートを通してハワイにギブバックできる活動ができればいいなと思っています。

ビショップ・ミュージアムのクリス・ゴトウさんの作品

ビショップ・ミュージアムに展示されているクリス・ゴトウさんの作品

───ギブバック=恩返しということですね。それでは最後に、日本の皆さんへメッセージをお願いします。

クリス:どうしよう、難しいですね! でもハワイは変わらないので焦らなくても大丈夫(笑)。旅行が再開する時まで我慢しましょう。今は周りの身近な人を大切に! というのも私は自分ひとりで成し遂げるものはないと思っているんです。夢を見続けていられる状況を作ってくれる誰かが必ず近くにいてくれて、その誰かは家族だったり、友だちや隣の人だったり。そういう人たちへの感謝の気持ちと気遣いはいつも大切にしたいなって。ハワイは人にやさしくとか、相手の痛みを理解する気遣いのコミュニティですよね。そういうマインドセットがもっと多くの人に広まるといいなぁと思います。

───クリスさん、ありがとうございました!



★インタビューを終えて…

クリス・ゴトウさん

クリスさんが「私の口にはフィルターがないってよく言われるんですよ」とおっしゃっていましたが、気取らずスパーンと回答してくれる様子はすっごく爽快でした。話はコロナからアートへ、そしてなぜかナスの揚げ出しのナスが吸い上げる油の量が引くほど凄まじい! という話題にまで及び、一体なんのテーマだっけ?と思うほど話題が尽きず、笑いが絶えないインタビューでした。取材中、YWCAオアフのスタッフの方がクリスさんを見つけるたびに「Hi Kris!!」と駆け寄ってきて会話している姿を見ていると、ああ、愛されキャラだなぁとしみじみ。インタビューでも語ってくれましたが、日頃からサポートしてくれる人たちへの感謝や気遣いを大切にしているからこそ、みんなが自然と歩み寄って手を差し伸ばしてくれるのだな、と実感。それから「アーティストはエッセンシャルワーカーだ!」の話の時は、目から鱗でした。私も微力ながらもハワイのアーティストたちのサポートをしていきたいです!

■おまけ

YWCAオアフ

このインタビューの後、YWCAの方が女性の自立を応援する「ドレス・フォー・サクセス」という場所を特別に案内してくれました。地下にある一室には寄付による洋服や靴、アクセサリーなどがずらり。仕事の面接やオフィススタイルに必要なアイテムが一式そろいます。面接のシュミレーションから履歴書の書き方のアドバイスまでサポートし、訪れた人たちはここを去る時、自信に満ちた表情で出ていくのだそう。クリスさんも初めての見学でスタッフの方のお話に関心されていました。現在はコロナの影響で一般開放されていないものの、いつかまた、多くの人が利用できると日が早く来るいいですね!

YWCAでは120周年を記念したキャンペーンを実施中。詳しくはこちらから>>

■おまけ、その2

「最近お気に入りのお店はありますか?」との質問に、「壁画を描かせてもらったからという訳ではなく、桜テラスのオムライスが美味しい!」と答えてくれたクリスさん。

というわけで、早速テイクアウトしてきました。ふわふわの卵と酸味を抑えたケチャップライスの組み合わせが絶妙で、やさし〜い美味しさがじんわりと口の中で広がります。しかもテイクアウトしたボックスには「Stay Healthy!」、「Enjoy」などのメッセージが手書きで書かれていて、温かい気遣いがとても心に染み渡りました。ハワイを訪れる日がやって来たらぜひお店に立ち寄ってみてくださいね。クリスさんの壁画のチェックもお忘れなく!

 

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