よしみだいすけさんが、メレを旅するハワイをテーマにしたコラム

よしみだいすけさんが、メレを旅するハワイをテーマにしたコラム

文筆家、フラナビゲーターであるよしみだいすけさんが、メレを旅するハワイをテーマにしたコラム。今回はマウイの人々を応援するため、マウイのシンボルワードをご紹介。

公開日:2023.09.05

よしみだいすけのフラナビ・コラム

メレ(うた)を旅するハワイ
第六十六回:「メレを旅するハワイ〜マウイのシンボル」

だいすけコラム
Aloha from Mānoa!

8月8日に起こった山火事の壊滅的打撃に苦しむマウイに、いち早く支援の行動を起こしてくださった日本のフラダンサーの皆さんへ。
ぼくが実施したAloha Maui チャリティー講座には、日本から約400人のフラダンサーが参加、集まった寄付金(約2万5千ドル)をマウイ・ストロング基金に贈りました。

ご協力ありがとうございました。

だいすけコラム

寄付をしたけれど、心のザワザワがおさまらないフラダンサーに、ぼくから提案します。
これから復興に向けて立ち上がるマウイの人々を応援するために、今こそ、マウイのメレを踊りましょう!

マウイをたたえるソング・リストはこちら。

メレはハワイの記憶装置です。
メレの言葉に込められた記憶・過去を蘇らせ、命を吹き込む。それこそフラダンサーに与えられた役割です。
マウイをたたえるメレを踊ることで、歌に描かれた美しいマウイに命を吹き込むことができます。
ラハイナが描かれる歌を踊ることで、かつてのラハイナの記憶を今に伝えることができます。

ラハイナのメレを紹介する記事はこちら。

歌の中のマウイのシンボル

マウイのメレを踊るために、フラダンサーに必要なものがあります。
それはマウイについての基礎知識です。

マウイのメレには、マウイの自然、風景・時代背景が記憶されています。
マウイの地理や歴史、文化的な基礎知識を持ってこそ、マウイのメレに命を吹き込むことができる。だから、マウイを伝える歌の言葉を掘り下げて勉強しましょう。その第一歩として、マウイの歌に繰り返し出てくるキーワードの中から、フラダンサー必須知識である「マウイのシンボル」ワードをここで5つ紹介します。

1.ロケラニ

これはみんなわかりますよね。バラの花のことです。

「ロケ loke」「ロケラニ lokelani」「ロゼ rose」「ロゼラニ roselani」などの言い方がありますが、ぜんぶ同じ。マウイの島花になっている鮮やかなピンクの小ぶりなバラのことです。マウイのアイランド・カラーがピンクなのも納得ですね。

こんなふうに歌われています。

Lei Lokelani(Charles E. King)

Aʻu i kui a lawa
I lei noʻu e haʻaheo ai
Lei lokelani
Lei aloha, lei makamae

私が一連につないだ
誇らしく身につけるレイ
ロケラニのレイ
アロハのレイ、大切なレイ

Kilakila ʻO Maui(Alice Mahi Keawekane)

Kilakila ʻo Maui i ka rose lani
ʻO ka ʻoi nō ia e kaulana nei

ロゼラニ際立つマウイ
名高さは最高級

2.ハレアカラ

マウイ・ソングの中にもっとも登場する地名が「Haleakalā」です。まさにマウイ島のシンボルといえる山ハレアカラは「太陽の家」という意味のハワイ語名。
こんなふうに歌われています。

Moku O Ka Rose(Kuana Torres Kahele)

Kilakila ʻo Haleakalā
Kuahiwi nani kū i ka lani kua kaʻa
Ka haʻaheo aʻo Piʻilani

ハレアカラはそびえ立つ
美しい山、天高く立つ
ピイラニの誇り

3.ピイラニ

「ピイラニ Piʻilani」という名前もマウイ・ソングによく出てきますよね。
ハワイ諸島がカメハメハによって統一されるずっと前、16世紀ごろにマウイ島を統治したラハイナ出身の王の名前です。多くのメレの中で「ピイラニ」の名前がこんな決まり文句の形で歌われます。
「nā hono aʻo Piʻilani」
直訳すると「ピイラニの湾」ですが、マウイを指して「ピイラニ王が統治する湾に囲まれた島」と表現する、島の愛称のようなものですね。

Hoʻoheno Aʻo Piʻilani(Traditional)

Hoʻoheno kēia sweet lei roselani
O Maui, nā hono aʻo Piʻilani

尊いこれは甘いバラのレイ
マウイ、ピイラニの湾

4.カマ

「カマ Kama」という名前もマウイ・ソングに頻出します。多くの場合「Maui nui a Kama」というフレーズで出てきます。「カマの偉大なるマウイ」という意味ですが、カマって誰?

カマとは「カマララワル Kamalalawalu」のこと。マウイ島の歴史上最も偉大な王のひとりとして語り継がれる彼は、ピイラニの孫。

Maui Nui A Kama(Kuana Torres Kahele)

Hanohano ʻo Maui nui a Kama
Kilakila ʻo Haleakalā
ʻOhuʻohu i ka lei ʻōpua

輝かしいのはカマの偉大なるマウイ
ハレアカラがそびえ立つ
雲のレイに飾られて

5.ナ・ワイ・エハ

歌詞に「ナ・ワイ・エハ Nā wai ʻehā」というフレーズが出てきたら、それはマウイ・ソング。直訳すると「4つの水流」という意味で、西マウイの水源の川「Waikapū」「Wailuku」「Waiehu」「Waiheʻe」の総称です。

Nā Wai Kaulana(Alice Nāmakelua)

Kaʻapuni ʻoe a puni o Maui
E ʻike i nā wai ʻehā
ʻO Waikapū, ʻo Wailuku, ʻo Waiehu
Kaulana nā wai ʻehā
He ʻīnikiniki mālie
ʻO Waiheʻe i ka makani Kiliʻoʻopu
ʻO nā wai kaulana ia o kuʻu ʻāina

マウイを一回りして
見て、4本の川を
ワイカプ、ワイルク、ワイエフ
名高い4つの水流
優しく肌を刺す冷たさ
キリオオプの風に吹かれるのはワイヘエ

ひとつ知っておいてほしいことがあります。

「Nā Wai ʻEhā」の水源は、過去に商業利用(砂糖産業に端を発する独占的なもの)を目的として、地元民から奪われた経緯があります。奪われた水資源を取り戻すための抗議運動が、マウイのフラ・コミュニティーを含むハワイ系の人たちの協力で長年行われてきました。ラハイナを焼き尽くした山火事災害は、根深いこの問題も再燃させる結果となりました。

マウイの歌を踊るなら絶対知っておきたい、メレの中のマウイのシンボル5つ、もう覚えましたね。
フラダンサーのあなた、今こそマウイ・ソングを踊りましょう。

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ハワイからのライブ配信もお楽しみに。

よしみだいすけ
Daisuke Yoshimi
文筆家、フラナビゲーター
ハワイ州観光局アロハプログラム講師、フラやハワイ音楽に傾倒するハワイ・スペシャリストとして、ハワイを拠点に執筆・講演活動を行う。

●著書
たくさんのメレから集めた言葉たち(1〜4)
メレ旅(上下巻)
Live Aloha アロハに生きるハワイアンの教え

公式ホームページ
フラダンサーのためのオンデマンド講座

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