ハワイで奥深いアートの祭典が開催!おすすめや見所は?

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ローカルビジネスを応援する「サーシャのサポートハワイ」。ハワイで開催中の芸術祭「ハワイ・トリエンナーレ」についてキュレーター・テヅカミワコさんにインタビュー!

公開日:2022.03.10

ロコガールが紹介!サーシャのサポートハワイ

アロハ! サーシャです。

私が、ハワイのスモールビジネスやローカル企業、​デザイナー、アーティストの皆さんを応援する取り組み「サーシャのサポートハワイ」。今回は、2月18日(金)〜5月8日(日)、ハワイ州内各所で11週間に渡って催される国際芸術祭「ハワイ・トリエンナーレ2022」について、キュレーターのテヅカ・ミワコさんインタビューしました!

※このインタビューは2022年2月14日(月)に行ったものです。

ミワコ・テヅカ / Miwako Tezuka

ミワコ・テヅカ / Miwako Tezuka

神奈川県出身。1989年にNYに移住。コロンビア大学から戦後日本美術史の博士号取得。2005年から「Asia Society Museum」で現代美術キュレーターに就任。2012年より「Japan Society」にてギャラリーディレクターを務めた。現在は、アーティストの荒川修作とマドリン・ギンズによって設立された「Reversible Destiny Foundation」の副ディレクターとして活躍する。ドリュー・カフアイナ・ブロデリック、メリッサ・チウとともに、「ハワイ・トリエンナーレ2022」のキュレーターに抜擢。

太平洋の中心にあるハワイをプラットホームに、多数のアートが集結

サーシャ:はじめまして!テヅカ先生にお会いできるのを楽しみにしてました。

テヅカ・ミワコ:私もみなさんに展覧会「ハワイ・トリエンナーレ2022」をご紹介できるのはとても光栄です。

サーシャ:さっそくなんですが、テヅカ先生さんについて教えてください。

テヅカ・ミワコ:出身は日本なんですが、ニューヨークの大学に進学しアートの勉強をした後、現在はアーティストの財団「Arakawa Gins Reversible Destiny Foundation」で仕事をしています。その他にも単独のキュレーターのプロジェクトを手掛けているんですが、「ハワイ・トリエンナーレ2022」は私が今まで手掛けた中では一番大掛かりなイベントなんです。

サーシャ:「ハワイ・トリエンナーレ」は具体的にどのようなイベントなんですか?

テヅカ・ミワコ:「パシフィック・センチュリー」をテーマに掲げた、アートのイベントです。

太平洋を上から見た時に中心にあるハワイを、アジア、アジア太平洋、アメリカ本土のアーティストが集まるプラットホームにしたら、アーティスト作品を通してどういった面白い対談やイマジネーションのもとが作られるかという部分にフォーカスしています。

サーシャ:素敵ですね! ハワイは多種多様な民族がいるメルティング・ポットだから、いろんなスタイルのアートが混在していてすごく面白いですよね。

じつは、今回「ハワイ・トリエンナーレ」のことを初めて聞いたんですが、いろいろ調べてみてすっごく楽しみでした。「ハワイ・トリエンナーレ」は今回で何回めの開催ですか?

テヅカ・ミワコ:3年に1回の美術展というトリエンナーレ形式で行われるのは今回が初めてです。2017年と2019年に、2年に1回のビエンナーレという形で開催していました。パンデミックでロックダウンする前に、キュレーターが時間をかけてきちんとリサーチできるし、いろんなアーティストさんとのコミュニケーションも長い時間をかけてしっかり形作ることができるということで、3年に1回の開催にフォーマットを変えたんです。

サーシャ:そうなんですね。テヅカ先生はビエンナーレの1回めから携わってらっしゃるんですか?

テヅカ・ミワコ:今回が初めてなんです。2010年頃、ニューヨークの「Asia Society Museum」で現代美術キュレーターをしていた時に、ハワイでアジア系アメリカ人のグループ展をホノルル・アカデミー・オブ・アーツ(現在のホノルル美術館)で開催したことがあって。ちょうどその時、現代美術館でローカルのアーティストさんにフォーカスした展覧会をやっていたので、ハワイにもアートシーンがあり、ローカルのアーティストさんが活躍されているんだなというのを知りました。それ以降ハワイにくる機会があまりなかったので、今回このような機会をいただき、ハワイを拠点に活動されているアーティストの取り組みを知ることができて良い勉強になりました。

ハワイのアーティストは「自力でやっていく」というエネルギーがある

 

サーシャ:今回のトリエンナーレの準備で何度かハワイを訪れられたそうですが、ハワイをどう感じられてますか?

テヅカ・ミワコ:気候によって人の活動の仕方や態度が違うとすごく感じていて、海風がいつもそよいでいるハワイの気候はすごく心を和らげてくれるなあと。心が豊かな感じになる気がしますね。自分がマイノリティを意識しなくてもみんながそうなので、フラットな関係が保てて、文化的にもいろいろなコミュニティの方々とお話ができて共感できることが多いとすごく感じます。

サーシャ:私も日本に行くと、ハーフということだけですごく目立つんですね。でも、ハワイっていろんなバックグラウンドの方が集まっていて人種差別も少ないし、心が豊かになると思うんです。アートの面でもそれって反映されているんですかね?

テヅカ・ミワコ:ハワイアン特有の文化や伝統がある中で、いかに現代の文明の中に続けていけるかということを意識し大切にして活動されている方々が多くユニークだと思います。

ハワイのアーティストさんって「自力でやっていく」っていうエネルギーがすごくあると思うんです。昔からアートが地場になっているニューヨークには、美術館とかギャラリーとかいっぱいあって構造がすでにできているので、その中にいかに入っていくかがアーティストのチャレンジなんです。それに比べ、ハワイは美術館やギャラリーがそこまでない中で、自分達で自分達の足場を作っていくっていうものすごくプロアクティブなエネルギーがある方が多いなって思います。

そういうアーティストさんがいるってことをきちんとトリエンナーレで紹介し、世界中のみなさんに知ってもらいたいなと思います。

サーシャ:私も大学でアートを専攻していた時、才能のあるアーティストの方々がたくさんいたので、今回のイベントでハワイという土地で見えないけれど才能のある素晴らしいアーティストたちを世界中の方に知っていただけるってすごく嬉しいです。感謝しています。

テヅカ・ミワコ:私もハワイで展覧会を形作る機会がいただけて嬉しいです。

アーティスト同士がどのようにリンクするか、というのもグループ展の醍醐味

サーシャ:何名のアーティストさんが参加されるんですか?

テヅカ・ミワコ:コレクティブ(アーティストによって形成された集団)も含めると60人以上です。

サーシャ:日本のアーティストの方も参加されるんですよね?

テヅカ・ミワコ:今回日本からはいろいろな形態のアートを作っている方に参加いただいています。

空間を彫刻した作品を制作する京都出身の久門剛史(ヒサカド・ツヨシ)さんをはじめ、日本とハワイの移民の歴史を辿っていく「KIPUKA」というシリーズを手掛ける東京都出身の写真家、岩根愛(イワネ・アイ)さん、日本とワイキキの海外線を組み合わせて動く粗描画のような初のビデオ作品を展示される神奈川県出身の半田真規(ハンダ・マサノリ)さんなどが参加しています。

イワネ・アイさん(写真右)と

 

そのほか、世界的にご活躍されている画家、加藤泉(カトウ・イズミさん)による天井から吊るす6メートルのファブリックペインティングにも注目していただければと思います。

サーシャ:お〜、早く見たいです!

ミワコ・テヅカ:すごく面白い展示会場の雰囲気になると思います。

いろんなアーティストさんがひとつのスペースにさまざまな形態の作品を展示することで、アーティスト同士がどのようにリンクするか、コントラストになるか、メッセージ性を込められるか、というのもグループ展の醍醐味なんです。

表面から見るとパラダイスだけど、実際は問題もあって暗い部分もある……そんな今まで知らなかったハワイが見えてきた!と思っていただけるような、ちょっとした隙間を入れ込んでいるキュレーションになっています。

サーシャ:ハワイに今何が起きているのか、どんな人が暮らしているのかなど、表面的なハワイからもう一歩入った段階での創作活動をされているということ、そういった出来事を見る側に知ってもらえるチャンスを作ってもらえてすごい嬉しい……。

テヅカ・ミワコ:どうしたらみなさんに楽しんでいただけるかということを工夫してみんなで協力し合い展示・設置しています。

ニューヨークで活動されている日本出身の鳥光桃代(トリミツ・モモヨ)さんの2000年にスタートしたシリーズ「Somehow, I don't feel comfortable」では、室内に巨大なウサギを設置して日本の女性が感じる「自由じゃない窮屈さ」を表現しています。「可愛い」と思うウサギが巨大化していて窮屈そうにしているのは、可愛いと愛でられる日本の女性も実際は息苦しいしなんとなく居心地が悪いという状況を形で表してるんです。

↓サーシャの取材映像はこちら(2月18日に撮影したものです)

すごくコマーシャライズされたワイキキに同作品を展示した時に、ハワイに来たのになんでショッピングだけにフォーカスにするの?原住民にとってワイキキはどんな場所であったか?そういうことを感じていただけるきっかけになれば良いなと思います。

ウエブサイトにハワイの土地の元々の意味や重要さの説明をアップしているので、合わせて見ていただけると、より深く味わっていただけると思います。

サーシャ:ヒントがあれば理解しやすいですよね。今回は結構長い期間でイベントを開催されるんですよね。

 

テヅカ・ミワコ:2月18日〜5月8日の11週間、開催します。最後の週末には、クロージングパーティイベントも開催する予定で、展示期間中は見どころ盛りだくさんなので何度来ても新しい発見があると思います。

サーシャ:入場するにはチケットの購入が必要なんですよね?

テヅカ・ミワコ:オールアクセスパス($75)をご購入いただくと、ビショップ博物館、フォスター植物園、ハワイ・シアター・センター、ハワイ州立美術館、イオラニ宮殿、ホノルル美術館、ロイヤル・ハワイアン・センターの7会場すべてに入場することができ何回でも訪問することが可能です。

サーシャ:めちゃくちゃお得ですね!私もオールアクセスパス買わないと。チケットはオンラインで購入できますか?

テヅカ・ミワコ:はい、オンラインで購入いただけます。日本の方にも、今までとは違ったハワイの楽しみ方を経験していただけると思います。

サーシャ:日本のみなさんにハワイでアートを楽しんでほしいって進めることが多いんですけど、一週間の滞在でいろいろ回り続けられますね!

テヅカ・ミワコ:そうですね。あとは、オープニングイベントとして、18日〜20日の特別に3日間だけイオラニパレスでプロジェクトマッピングを行うんです。

デジタルプロジェクションを手掛けるLA出身のアーティストジェニファー・ステインキャンプさんによる大掛かりなプロジェクトで、リリウオカラニをサポートしていた方が彼女に送ったお花でガーデンができたという逸話に基づいて、花の模様が素敵に動き始め、もう一度再生させるという希望を感じさせるプロジェクションマッピングです。

※このイベントは終了しています。

 

サーシャ:聞いているだけで鳥肌が立ちます……!見に行きたい!!プロジェクトマッピングは最初の3日間限定なんですよね?

テヅカ・ミワコ:その予定です。コロナの影響もありプログラムのスケジュールが流動的なため、ウエブサイトで常時アップデートされたスケジュールが出てますので、プログラムの日時をチェックしていただければと思います。

サーシャ:たくさん素敵なアーティストの方がいらっしゃると思うんですが、一番の見どころってどこですか?

テヅカ・ミワコ:ん〜、難しい質問ですね……、見どころは全部です!(笑)。スタンプラリーにしてすべての作品を見ていただきたいくらい本当に全部おすすめです!

ビジュアルだけでなく、テキストベースや彫刻、スペースを使ったアートなどいろんな作品があり、さまざまな入り口があるので今まで現代美術にあまり触れることがなかったという方でも、自分が入りやすいと思った所から入っていただければと思います。

展覧会作りってお料理作りと似ている所がある

サーシャ:テヅカ先生のモチベーションになっていることってありますか?

テヅカ・ミワコ:日本がバブルの絶頂期にニューヨークに移り住んだんですが、その頃日本の方々って海外に赴任したり留学したり、外向き思考だったと思うんです。それが、なんとなく静かになってきて、日本の方の存在感があまり強く感じられなくなってきたなと思うようになって……。そんな中で、日本で創作活動をされている方のエネルギーやイマジネーションをアートを通して外に向けてコミュニケーションしていくということができれば良いと思うので、私の役割は日本と海外の架け橋となるというのにフォーカスしていて、それがモチベーションですね。

展覧会作りってお料理作りと似ている所があって、すごい良いエッセンス(旨み)を持った作家さんをうまく調理すると良いディッシュができるというイメージがあります。それをみなさんに一緒に楽しんでいただけるかを考え、地元の良い部分、素質や才能を取り込んでいくこともすごく大切だと思っています。

サーシャ:ハワイのアーティストやスモールビジネスのオーナーをサポートしたい、という気持ちで「サポートハワイ」をスタートしたんですが、もっとみんなにハワイってこんな所なんだよ、こんな人がいるんだよ、っていうことを伝えたいなって。だから、このイベントでもっともっと広がっていって、ハワイの存在感が強くなれば良いなと思っています。

テヅカ・ミワコ:そう言っていただけると嬉しいです。

サーシャ:将来的にハワイで同じような展示会を企画されていますか?

テヅカ・ミワコ:チャンスがあればぜひ行いたいですね。日本とハワイって移民の歴史がすごく長くあるので、そういった所に焦点をあてたテーマ展やプロジェクトが企画できればいいなと思います。

サーシャ:最後に、日本のみなさんにメッセージをお願いします!

テヅカ・ミワコ:日本でアートというと、「ちょっと難しいから……」と遠慮してしまう方も多いと思うんですが、「ハワイ・トリアンナーレ2022」では自然に楽しめる作品がたくさん展示されているので遠慮せず怖がらずぜひみなさん見に来ていただければと思います。

サーシャ:本日はどうもありがとうございました!

 



★インタビューを終えて★

今回の対談でハワイトリエンナーレのことを知れて本当によかったです!
トリエンナーレはモダンアートを通してハワイの文化、歴史、今ハワイで何が起こっているのかなどを伝えてくれる素晴らしいイベントなのでハワイにこの期間に来られるときはぜひ見に行っていただきたいです!!
これからもハワイのアート、音楽のシーンをもっと多くの日本のみなさんへお届けできるようにしたいと強く思いました!

 

 

サーシャ/Sasha

大阪生まれの日英バイリンガル。幼少から1年の半分は米国で過ごす生活を送り高校からハワイへ移住。17歳の時に出演したテレビ番組がきっかけでタレント活動を開始し、現在BS12 トゥエルビ「ハワイに恋して!」にレギュラー出演中。

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