環太平洋航海間近!ハワイの伝統カヌー「ホクレア」の使命

環太平洋航海間近!ハワイの伝統カヌー「ホクレア」の使命

サーシャがローカルビジネスを応援する「サーシャのサポートハワイ」。今回は2022年〜環太平洋航海を予定しているハワイの伝統カヌー「ホクレア」についてインタビュー。

公開日:2021.11.19

更新日:2021.11.21

ロコガールが紹介!サーシャのサポートハワイ

アロハ! サーシャです。

私が、ハワイのスモールビジネスやローカル企業、​デザイナー、アーティストの皆さんを応援する取り組み「サーシャのサポートハワイ」。今回は、2022年〜2026年に、日本を含む46カ国345地域に寄港する環太平洋航海が決定しているハワイの伝統航海カヌー「ホクレア」について、クルーのタミコさんと、教育プログラム担当のビンスさんにインタビューしました。

ウエブ記事の最後には、私がホクレア内部の様子をレポートしているので、ぜひ最後までチェックしてみてくださいね!

 

タミコ・ファネリアス / Tamiko Fernelius

タミコ・ファネリアス / Tamiko Fernelius

沖縄県出身。1997年〜2005年まで沖縄の海上保安庁に勤めた後、結婚を機に2006年にアメリカ・ミネソタ州に移住。2009年からPolynesian Voyaging Societyの一員としてホクレアやシスターカヌーのヒキアナリアのドライドック、クルートレーニングに参加。現在は、ナビゲーター見習いとして活動している。

ビンス・オカダ / Vince Okada

ビンス・オカダ / Vince Okada

東京都出身。90年代半ばに学生としてLA、ニュージャージー州、フロリダに移住。2013年にハワイ大学のカピオラニ・コミュニティ・カレッジの教員を勤める。2019年からハワイ・パシフィック大学社会福祉プログラム長兼助教授を担う傍ら、ホクレアの教育プログラムを担当。

ハワイの生きた文化を次世代に引き継いでいくことが使命

サーシャ:アロハ! タミコさん、ビンスさん。ご存知ない方も多いと思うので、まずはホクレアについて説明していただけますか?

タミコ:ホクレアはハワイの伝統航海カヌーで、エンジンが付いておらず風の力で動きます。コンパスやGPSといった現代の航海計器を使わずに、星や太陽、風、波といった自然のサインを便りに目的地の島に向けて航海するんです。

サンド・アイランドに停泊するホクレア

 

サーシャ:今はテクノロジーに頼って生きていますが、その中で自然の力を使って航海するのってかっこいい! 今の世界にめちゃくちゃ必要なことだと思います。ホクレアの名前の由来って何ですか?

タミコ:ホクレアは星の名前で、うしかい座の一等星「アークトゥルス」のハワイ語です。ホクが「星」、レアが「喜び」で、「喜びの星」を意味します。

ビンス:ハワイアンの方々が「自分たちの文化を取り戻そう」となった70年代に、自分たちのシンボルを作りたいって思ったのもこのホクレアができたきっかけのひとつなんです。「ハワイアンの人にとって喜びの星になるように」という想いを込めてホクレアという名前が付けられました。

サーシャ:素晴らしい! そんな深いバックグラウンドがあったんですね。ホクレアが航海する目的を教えていただけますか?

タミコ:ハワイの生きた文化を次世代に引き継いでいくことが目的です。リスクを背負ってでも大海原に出て航海を続けていくことでしか次世代に継承することができないのかなと思います。

サーシャ:目的というかもはや使命ですね。

タミコ:そうですね。

サーシャ:かっこいいなあ……。目標はありますか?

タミコ:ハワイの生きた文化を次世代に継承していくっていうのがひとつの目標でもあるんですが、その他にもハワイの人としての生き方を次の世代に伝えていくという目標があります。
「He waʻa he moku he moku he waʻa (カヌーは島で島はカヌーだ)」というハワイのことわざがあるんですが、航海術だけでなくて島での生き方を伝えていくことも大切だと思います。

ビンス:あと、クルー同士の絆や島間での繋がりを大切にするっていう目標もあります。ハワイの人が他の島に行く時は、ハワイでのストーリーを持って行き、他の島のストーリーをハワイに持ち帰って共有するという目的もあるので、繋がりを大切にするというのも航海の目標のひとつだと思います。

 

ホクレアに乗船するクルーたち

 

サーシャ:それだけ長い間航海していたら、いろんなドラマが生まれてきますよね。もう「すごい」しか言葉が出ない!

タミコビンス(笑)。

 

環太平洋航海では15年ぶりに日本への寄港も予定

サーシャ:2022年から太平洋を一周するという航海を予定されているんですよね?

タミコ:はい、2022年から2026年まで太平洋を一周する航海を予定しています。ハワイから北米アラスカ、アメリカ西海岸、ガラパゴス、イースター島、タヒチ、クックアイランド、サモア、ニュージーランド、オーストラリア、太平洋諸島など、世界46カ国、全345カ所を巡る予定です。航海の中には沖縄も含まれているんですが、ホクレアが日本に行くのは2007年ぶりなんですよ。

サーシャ:15年ぶり!? すごいですね! 航海している途中で、予想外の天候で違う国に行かないといけないこともあるんですか?

タミコ:そうですね。前回の世界一周の航海では、モリシャス島から南アフリカのケープタウンに向けて出港しないといけない時に、嵐がきて一週間出港できなかったんです。やっと出発できたと思ったら南アフリカの最初の寄港地に着く時にまた嵐がきて、モザンビークに一時停泊しないといけなくなった時がありました。モザンビークは未知の国だったんですけど、錨を入れて2日間待機しましたね。

 

サーシャ:へ〜、そういうこともあるんですね!

ビンス:僕みたいに裏方でホクレアをサポートする人間は、そういうことがあるとパニックになりますね……。国によってはビザなどの問題もあるし、クルーのスケジュールもあるので。オフィスにクルーのスケジュールが書いてあるホワイトボードがあるんですが、3日後には全部変わってることがしょっちゅうですね。

サーシャ:そっか……、ビザとかも関係してくるんですね。ビンスさんは、ハワイ現地に残り、クルーをサポートする業務を担当されているんですか?

ビンス:僕はハワイから日本にいるクルーと連絡を取り合ったり、日本に行った時に地元の方々と繋がれるように学校やコミュニティと一緒にどういうことができるかを決めたりすることが多いですね。クルーの約3倍以上の人たちが僕のように裏方として活動しています。

サーシャ:裏方さんも大切な役割ですね。タミさんは、クルーとしてご活躍されていますが次回の航海で何回めの航海になるんですか?

タミコ:11回めです。

サーシャ:すごい! 世界一周は、最初から最後まで同じクルーが乗っているわけではないんですよね?

タミコ:違います。ひとつの区間を航海する期間の1カ月〜1カ月半、長くて2カ月くらいごとに交代します。

サーシャ:へ〜! リレーのバトンを引き継いでいく感じでかっこいいですね。

ビンス:ひとりのナビゲーターだけに頼っていると後世に引き継げないので、同じ知識を持つ人が横にいて、次の世代にもいて……という感じで、現協会リーダーのひとりであるナイノア・トンプソンの世代からタミちゃんのような次のナビゲーターの世代に絶やさないように若いナビゲーターをどんどん育てていくことが大切なんです。

サーシャ:なるほど。平均年齢はどのくらいなんですか?

ビンス:下は18歳から上は70歳までいますね。実際に航海に参加できるのは18歳以上ですが、トレーニングなどは高校生も関わっています。

サーシャ:乗船するクルーは何人くらいなんですか?

タミコ:長距離だと12人くらいですね。世界中から200人以上のクルーが参加します。

サーシャ:2022年の太平洋一周の航海でのタミコさん、ビンスさんの役割は何ですか?

タミコ:今回の航海では見習いナビゲーターとして乗船する予定です。

ビンス:僕のクレアナ(役割)は、日本とハワイを教育の面で繋げたり、日本のクルーのサポートに入ったりすることです。「日本丸」などの訓練船の学生さんとホクレアのクルーを会わせて、お互いの知識をシェアしてもらう取り組みを10年くらいやっていますね。

サーシャ:お互いに知識をシェアして広がっていく世界って素晴らしいですね!

 

日本丸の学生とホクレアのクルー

 

「学ぶことの大切さ」を若者に伝える教育プログラムを実施

サーシャ:おふたりはどういうきっかけでホクレアと携わっていくことになったんですか?

ビンス:僕はハワイ大学敷地内にある「イースト・ウエスト・センター」という国立の施設で2006年に短期のプログラム「アジア・パシフィック・リーダー・プログラム」に参加した際に、理事であったナイノアからホクレアの話を聞きました。「翌年に日本に初めて行く」という話をしていた時に、「日本人なら関わりなさい」と言われたのがきっかけです。

タミコ:私がまだ沖縄にいた2003年に、たまたま立ち寄ったコンビニで雑誌を立ち読みしていた時に、ホクレアの最初の日本人クルー、内野加奈子さんの記事を読んで初めてホクレアのことを知りました。それが、沖縄の海の助けになることをやりたいと思い入庁した海上保安庁の業務内容が思っていたものと違うなと、ちょうど悩んでいた時期で……。「日本の海の環境を良くしていくためには、カヌーで海と繋がることが良いのではないか。ホクレアが必要なんじゃないか。」とホクレアに興味を持つようになったんです。
それからいろいろあって結婚してミネソタに引っ越した時に、ホクレアが沖縄に寄港したということを知りすごくショックでした。その時に自分の人生における大切なことってなんだろうってすごく考えたら、「ホクレアに関わりたい、ホクレアのことをもっと日本の皆さんに伝えたい」という想いが強くなって、2009年にハワイに引っ越すことを決めました。

サーシャ:ずっとホクレアのことを想っていたんですね。

ビンス:僕が最初にタミちゃんを見かけた時、タミちゃんはひとりでドライドックで作業していたよね。ホクレアってお金を出したらメンバーになれるってことではなく、タミちゃんのように何回も現場に顔を出し、他のメンバーと関わってみんなから信頼されたからこそ今のポジションにつけているんだと思います。
他のメンバーもみんなそうだけど、フルタイムの仕事や家庭がありながらも、みんなボランティアで活動しています。ホクレアには、自分のパッションやクレアナ、ハワイ・カヌーを想う気持ちがあってたどり着いた人たちが集まっているんです。

サーシャ:ひとりひとり決意を持ったクルーが集まっているからこそ上手くいくし、世界に感動を与えられるんでしょうね。半端な気持ちじゃやっていけないと思います。本当に大変なことだらけだと思うんですが、ホクレアで航海する上で一番大変なことってなんですか?

タミコ:航海に出る前の事前準備が一番大変ですね。毎日朝から晩まで、カヌーが安全に航海できるように、水漏れがないかとか水・食料のパッキングとか全部チェックするんです。

 

ロープを縛ってパーツを繋げる作業は数人がかりで行う

 

ビンス:寄港先の地元の人たちとのコーディネーションとかもあるよね。

サーシャ:そうなんですね。準備期間はどのくらいかかりますか?

タミコ:前回の世界一周航海の時は、一年近く前からトレーニングを開始したり、修理作業を行ったりしていましたね。

サーシャ:コンパスなどの計器を使わずに航海するのは大変じゃないですか?

タミコ:そうですね。太陽の昇ってくる方角や、波やうねりがくる方角で針路を決めます。でも太陽が高くなると方角は確認できないので、朝日が昇る瞬間や夕日が沈む瞬間に、太陽に対して波がどの方角から来ているのかというのを記憶して針路を確認するのは難しいですね。

ビンス:コンピューターや教科書がなくても、学校で勉強した天文学や物理学の知識があればあるほど、航海に役立つんです。生きる目的を見失いがちな若者も、ホクレアに関わることで、もっと天文学や物理学、エンジニア、母国語以外の言語などを勉強したいと思ってる子がすごい増えてきてるなってここ10年ですごい感じます。

タミコ:高校生の時に「コサインタンジェントとか勉強して何の役に立つんだ?」と思っていたんですが、実際にホクレアに携わって「これだー!」って繋がったんです。伝統的なことも現代の数学も全部繋がっているんだってユースの子たちが勉強することに意味を見出し、みんなのモチベーションになると思います。

サーシャ:学ぶことって大切なんですね。弟がずっと植物学を学んでたんです。

ビンス:植物学も、航海士が必要な薬草は何か、どういうハーブが長持ちするか……などの研究に役立つと思います。食べ物は腐りやすいものが多いですけど、昔はどういう食べ物を航海に持っていったんだろうって最近研究し直しているんですよ。

タミコ:スパムの缶とかサイミンとか栄養があまりないものを航海に持っていくこともあったんですが、最近は栄養士が関わって瓶詰めや発酵食品、乾燥させた魚とか健康的な食べ物を航海に持って行くようにしています。

サーシャ:そうなんですね!すごいなあ……。1日のルーティンってどんな感じなんですか?

タミコ:カヌーは24時間体制で操船しないといけないので、4時間交代でチームでウォッチ(シフト)で管理していきます。前回の世界一周航海の時は、料理担当だったんですけど、午前2:00〜6:00、14:00〜18:00のウォッチに入ってました。大体1:00に目が覚めて、5:00くらいになったら料理を準備し、6:00くらいにみんなで食事をして、その後片付けしたりしてウォッチが終わったら、シャワーを浴びて洗濯して……日記を書いたり、昼寝をしたりしていました。

 

海で獲れた新鮮な魚を調理するタミコさん(写真奥)

 

ビンス:あとは、日本の小学生向けに話したり、動画を撮影したり、ブログを書いたりっていう課題もあるよね。

タミコ:そうそう。あと、天気が悪い日は、ウォッチのクルーだけではできないことがあるので、セールを閉じたり、底に溜まった水をかき出したりする作業をヘルプすることもあります。

サーシャ:一番ホクレアに携わっていて良かったと思うことは何ですか?

タミコ:クルーの絆が兄弟みたいに深まること、自分自身をしっかり知れることですね。自分自身のことを知れるからこそ、相手にも目を向けられて、そこから絆が生まれるんだろうなって思います。

ビンス:刺激を受けて自分が貢献できることが見えてきて、目的も見えてくるよね。

サーシャ:自分自身の成長がクリエイトされてるって感じですね。感動……。それでは、最後に日本の読者へメッセージをお願いします。

ビンス:ハワイ州観光局サポートのもと、ホクレアの日本語サイトを今年の海の日に合わせて開設しました。ホクレアの詳細や、次回の太平洋航海の情報が見られたり、寄付ができたり、オリジナルグッズも購入できたりするようにしていきますので、ぜひチェックしていただければと思います。ウエブサイトのほかにもホクレアに関する映画もあるので、まずはホクレアを知っていただきたいですね。
ホクレアを通してハワイと日本の繋がりは深くなっていっているので、ハワイの人たちが大切にしているものを学ぶ機会にしてもらいたいし、日本でも自分の地元にしかない知恵や気づきをレガシーとして次の世代に広められるような活動をしてもらえると嬉しいです。

タミコ:数年後にホクレアが日本にいくので、たくさんの方がホクレアについて知ったりホクレアに出会ったりする機会が増えると思うんです。私自身がそうだったように、ホクレアに出会うことで、故郷を大切に想う心だったり、私たちを囲む自然の素晴らしさだったり、人はひとりで生きていけないから助け合わなきゃいけないことだったり……普段の生活で忘れかけてしまうものを思い出させてくれます。みなさんがホクレアに触れて感じることは、それぞれ違うと思いますが、自分の心の中に「航海」が生まれていくと思います。その航海を大切にして、自分自身がナビゲーターとなって導いていってほしいと思います。

サーシャ:素晴らしいですね。サーシャのサポートハワイでもホクレアのプロジェクトについてできるだけ発信していきたいと思っています! 本日はどうもありがとうございました!

 



●インタビューを終えて

ホクレアは絶対に未来に残していかないといけないハワイの伝統と文化だという事を学ばせてもらい、本当に嬉しかったです!

ビンスさんもタミさんも本当に素敵な方達でホクレアへの想いがとても深くて、ホクレアに携わる一人一人が未来の次の世代へ伝統、文化、環境などとても大切な事を残して行くために自分たちのミッションとして一生懸命頑張っている事に感動しました。

皆さんにもぜひホクレアの素晴らしいミッションの事を知って欲しいです!

 

★サーシャからのお知らせ★

ホクレアを含む、ポリネシア航海協会が行う伝統航海カヌーの修繕作業や教育プログラムの実施などは、すべて数多くのボランティアの力と皆さまからの寄付金によって運営されています。寄付はホクレアのウエブサイト、もしくは「サーシャのサポートハワイ」公式ウエブサイトよりお申し込みが可能です。

↓サーシャがホクレア内部をレポート!

ハワイに恋して!最新情報

次回放送日:11月22日(月)21:00〜
放送内容:#78 「トレンド街に進化中!歴史・グルメ・ショッピングが凝縮!最新チャイナタウン」

続々とオープンした美味しいお店、洗練されたレストラン、バー、さらにオシャレな雑貨店などローカルも注目の街「チャイナタウン」をサーシャが最新リポートします!

ワイキキから車で10分ちょっとで、トロリーなどでも訪れることができるチャイナタウン。
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ハワイに恋して!の公式ウエブサイトはこちら>>>

サーシャ/Sasha

大阪生まれの日英バイリンガル。幼少から1年の半分は米国で過ごす生活を送り高校からハワイへ移住。17歳の時に出演したテレビ番組がきっかけでタレント活動を開始し、現在BS12 トゥエルビ「ハワイに恋して!」にレギュラー出演中。

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