オアフ島東海岸の神秘の地 カハナ

オアフ島東海岸の神秘の地 カハナ

ハワイの歴史・文化に詳しいライター・森出じゅんさんのコラム第22回。今回は、オアフ島東海岸の神秘の地、カハナに関するお話です。

公開日:2021.06.29

森出じゅんのハワイ歴史&神話散歩

神話と歴史に彩られた
絶景のカハナ渓谷&海

ALOHA! ホノルル在住の森出じゅんです。

皆さんは、オアフ島東海岸のカハナ州立公園をご存じでしょうか? ワイキキからは、車で約1時間20分。海沿いを走るカメハメハ・ハイウェイを挟んでカハナ渓谷とカハナベイ(湾)の両側に州立公園が広がり、山の緑にエメラルドグリーンの海と、ハワイの魅力がギュッと凝縮されたような美しい地域です。位置的には、日本の皆さんにもお馴染みのクアロアランチと、ポリネシアンカルチャーセンターの間になります。

渓谷には大きな川も流れ、水の豊かな土地柄、一帯には古来、たくさんのハワイアンが暮らしてきました。そのため渓谷には神殿跡や灌漑跡など、遺跡が点在。今回は知る人ぞ知る絶景と神秘の地、カハナに焦点を当て、その神話や言い伝えを紹介しましょう。

まずカハナの神話と聞いて最初に私の頭に浮かぶのが、女神ヒイアカを怒らせた土地の酋長、パラニの物語です。カハナ渓谷が優れたサーファーだったパラニによって治められていた、大昔のこと。火山の女神ペレの妹であるヒイアカがカハナを訪れ、サーフィン中のパラニに「偉大なサーファー、パラニよ」と、敬意を持って呼びかけました。

ところが、相手がまさか女神とは知らなかったパラニ。「私が妻とサーフィン中なのが、わからないのか? ちっぽけな女よ、おまえは誰だ」と大変無礼な言葉を返したのです。その結果、パラニはヒイアカによって海に沈められ、岩に変えられてしまったそう。相手が女神であれ、誰であれ…。パラニの無礼な受け答えの結末は、当然の報いだったような気がしますね。

 

遠浅の海や養殖池には
クジラや大とかげの神話も

またカハナベイには、ハワイでは数少ないクジラの神話が残っています。ある日、浜に大きなクジラが打ち上げられ、人々はクジラの背から海にジャンプしたりと、大騒ぎになったとか。ところがある神官の息子を背中に乗せたままクジラが動き出し、少年を沖に連れ去ってしまいました。

人々は少年が海で溺れ死んでしまったものと嘆きましたが、実はクジラは四大神であるカネとカナロアの遣いでした。少年の父が息子を立派な神官にしてくれるよう神に祈り、その祈りが天に届いたので、少年を迎えにきたというわけです。少年は神の国で修業を重ねて立派な神官となり、村に戻って父を喜ばせたということです。

このカハナベイは写真で見ていただくとわかるように、大変な遠浅なのです。そのため引き潮の時間帯には、沖にサンドバーが現れることも。ここまで遠浅の海には昔、本当にクジラが座礁したことがあったのかもしれませんね。そのため、このような不思議な神話が紡がれたのでしょうか? …そんな気がします。

時間帯によってサンドバーが出現
なお湾の一角には、12~16世紀に造られたという大きなフイルア養殖池も。こちらには大とかげの姿の半神、モオによって守られているという言い伝えがあります。モオは水の精でもあり、川や池、滝壺、泉などにモオが住むと信じられているハワイ。フイルア養殖池の守り主であるモオは池の北西の角に住み、水面に枯れた葉が浮いている時は、海中にモオが潜んでいる印だそうです。

またこの池にはもう1つ、夢のお告げを守らなかったため池から全ての魚が消えた…という不思議な言い伝えも残っています。ある男が夢のなかで、神(モオでしょうか?)から「今後5年間は、アホレホレ以外の魚を池で獲ってはいけない」とのお告げを受けたとか。ところが男は、お告げに反してアマアマという魚を捕まえて食べてしまったのです! その翌日のこと。男が池に戻ると、池から全ての魚がきれいさっぱり、消え去っていたということです。


さまざまな伝説の残るフイルア養殖池
昔のハワイは資源を枯渇させないよう、魚ごとに禁漁期が設けられていました。この言い伝えも資源保護にまつわる、教訓話なのかもしれませんね。

以上のように、数々の神話に彩られた絶景の地が、カハナ。日頃から「神話は美しい場所、または驚異の地に紡がれる」というのが私の信条ですが、カハナは、まさにそんな、神秘的な土地。皆さんも、サンドバーが出現しそうな引き潮の時間帯を狙って、ぜひカハナを訪れてみてくださいね。

 

ハワイ神話にまつわる新刊&セミナーのお知らせ

さて、今日は1つ、嬉しいお知らせがあります。7月14日(水)に、新刊「Hawaii 神秘の物語と楽園の絶景―ハワイの人々が愛する100の神話」が発売になります! 出版元は、アートな書籍と絶景本などで知られるパイインターナショナルです。

 

この本は神話本でありつつ絶景本の要素も合わせ持つ、とても欲張りな本です。創世の物語から火山の女神ペレの神話、小人族メネフネの伝説までハワイのメジャーな100の神話を、それは美しいプロの写真とともに紹介しています(今日ご紹介したカハナも登場します)。ハワイ-日本間の行き来がままならない今、本書でハワイの神秘的な美しさと神話世界を楽しんでいただけたら幸いです。

ちなみに昨年、出版した「やさしくひも解くハワイ神話」ではハワイの神話を系統立てて紹介していますので、そちらと合わせて楽しんでいただくと、物語の理解がより深まるかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

さらにもう1つ。その出版記念?というわけではないのですが、8月13日(金)に、ハワイ州観光局の文化啓蒙プログラム「アロハプログラム」にて神話のウェブセミナーを予定しています。テーマは「ハワイの植物の神話&言い伝え」。こちらにもぜひ、ご参加くださいね。セミナーでお会いしましょう!

森出じゅん/JUN MORIDE プロフィール

オアフ島ホノルル在住。横浜出身。青山学院大学法学部卒業後、新聞・雑誌・広告のライターとして活動。1990年、ハワイ移住。フリーランスのジャーナリストとして活動するかたわら、ハワイの文化や歴史、神話・伝説、民間伝承を研究中。単に「美しいハワイ」にとどまらないハワイの奥深い魅力、真の姿を日本に発信すべく、執筆を続ける。2012年からハワイ州観光局の文化啓蒙プログラム「アロハプログラム」講師。著書に「ミステリアスハワイ」(ソニーマガジンズ刊)、「ハワイの不思議なお話」(文踊社刊)、「やさしくひも解くハワイ神話」(フィルムアート社)、「Hawaii 神秘の物語と楽園の絶景ーハワイの人々が愛する100の神話」(パイインターナショナル刊)がある。

☆ブログ「森出じゅんのハワイ生活」>>

☆ハワイ州観光局アロハプログラム>>

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