ハワイの歴史/神話 - ホノルル港の神話&ほのぼの昔話

ハワイの歴史/神話 - ホノルル港の神話&ほのぼの昔話

ハワイの歴史・文化に詳しいライター・森出じゅんさんのコラム第6回は、アロハタワーで知られるホノルル港。鮫の女神が愛し、カメハメハ大王も住んでいた!?

公開日:2018.08.16

更新日:2018.08.27

森出じゅんのハワイ歴史&神話散歩

鮫の化身やカメハメハ大王も
暮らしたホノルル港

Aloha! ホノルル在住の森出じゅんです。

みなさんはホノルル港に行かれたこと、ありますか? ホノルル・ダウンタウンにあるホノルル港には大型クルーズ船も入りますし、スターオブホノルル号など、サンセット・ディナークルーズ船の拠点もここ。客船時代のハワイの象徴、アロハタワーも建っていますので、旅行者にも馴染みの地域かもしれませんね。

ホノルル港の際に建つアロハタワー

我が家からこのホノルル港までは、歩いて15分。日常的に港の風景を目にしているわけですが、長年のダウンタウン暮らしで、港周辺に濃厚な歴史があることを知りました。しかも神話まで残っているんです!

そこで今回は、ホノルル港を取り巻くディープな過去をご紹介しましょう。

まず神話をご紹介すると…。大昔、ホノルル港のほとりには鮫の化身である美しい女酋長、ママラが住んでいました。ママラは、サーフィンの大変な名手でした。ママラが人間の姿で波に乗っていると、人々は岸辺からやんや、やんやと喝采を浴びせたとか(そんなママラを詠った古い歌もございます)。

ホノルル港の入口にはママラの愛したサーフスポットがあり、その名もケ・カイ・オ・ママラ。またホノルル港沖から真珠湾にかけての海は、古い地図には「ママラの海」と記されています。きっとママラは鮫の姿で、真珠湾までよく遠征したのかもしれませんネ。

 

アロハタワーから眺めたホノルル港。左手前はアロハタワー・マーケットプレイス

 

カメハメハ大王もワイキキから
ダウンタウンに引っ越し

ホノルル港の周辺はまた、歴史の宝庫でもあります! 何せ、かのカメハメハ大王も港近くに住んでいたことが。18世紀の後半にはすでに外国船が出入りしてたホノルル港。「ワイキキよりこっちに目を配ってなくちゃダメだ!」と、カメハメハ大王はオアフ征服後に住んでいたワイキキから、1809年に移って来たのでした。

カメハメハの住居があったのは、今のニミッツ・ハイウェイとフォート・ストリートの角近く。その海側には、カメハメハのためのカヌー発着場もありました。ハワイ王国の宮殿、イオラニ宮殿は7代目君主のカラカウア王によって1882年に建てられましたが、その遥か以前から、ダウンタウンには王族がたくさん暮らしていたのですね~。

ちなみにカラカウア王は、豪華絢爛なイオラニ宮殿のほか、ホノルル港にも別荘を持っていたんですよ。それはボートを収容する建物でもあったので、桟橋を渡る形で海に突き出して建てられた別宅でした。カラカウアはここに友人をしょっちゅう招いてゲームを楽しんだり、港でのボートレースを観賞したり。宝島の作者のスティーブンソンも、よく海の別荘に遊びに来ていたそうです。

アロハタワー1階にはハワイ王国時代のホノルル港の様子を示した展示も

カラカウア王はあまりにここで長い時間を過ごしたので、ホノルルで初めて電話線が引かれた時、イオラニ宮殿とホノルル港の別荘をさっそく電話線で結んだといいます。…もしかしたらたまに宮殿の執事から、「カラカウア王、ボート遊びばかりしていないで、そろそろ宮殿でお仕事してください」な~んて電話もかかってきていたりして。ついつい、そんな想像をしてしまいます。

じつはホノルル港周辺は19世紀後半に若干、埋め立てられており、当時とは海岸線が変わっています。ですが古い写真から判断して、カラカウア王の別荘があったのがハワイマリタイムセンターの建つ第7埠頭の辺りです。

 

あの英雄デュークも
ホノルル港で泳いだ!

第7埠頭にはもうひとつ、興味深い史実があります。デューク・カハナモクといえば、ハワイ初のゴールド・メダリスト。1911年、ハワイで初めて開催された競泳大会でデュークが世界記録を樹立したのが、ほかならぬ第7埠頭横の海だったのです。

 

ハワイマリタイムセンター横の第7埠頭

 

大会後にデュークの超人的なタイムを耳にしたアメリカ本土の大会関係者は、「そのタイムは目覚まし時計か何かで計ったんじゃないのか」と、信じなかったそう(何ともハワイをバカにした発言ですね!)。

ですがその後のデュークの快進撃はあまりにも有名ですよね。1912年のストックホルム五輪での金メダルを手始めに、3つのオリンピックで3個の金メダルを含む計5個のメダルを獲得し、ハワイの英雄となったのでした。

以上、長々とお話してきましたが、ホノルル港はただの港ではなく、ハワイの過去を語る上で第一級の史跡だということ、ご理解いただけたでしょうか? アロハタワー周辺に造られた商業施設アロハタワー・マーケットプレイスは今、ハワイ・パシフィック大学の施設として生まれ変わっていますが、最近オープンしたオールド・スパゲティ・ファクトリーはじめ、人気のレストランも健在。ダウンタウン散策の折りは出かけてみてください。

アロハタワー・マーケットプレース&ハワイ・パシフィックユニバーシティの正面

何より、アロハタワーの展望台から見る海の美しさは格別ですよ〜。ぜひ鮫の化身ママラが愛した海を、眺めていただきたいものです。

森出じゅん/JUN MORIDE プロフィール

オアフ島ホノルル在住。横浜出身。青山学院大学法学部卒業後、新聞・雑誌・広告のライターとして活動。1990年、ハワイ移住。フリーランスのジャーナリストとして活動するかたわら、ハワイの文化や歴史、神話・伝説、民間伝承を研究中。単に「美しいハワイ」にとどまらないハワイの奥深い魅力、真の姿を日本に発信すべく、執筆を続ける。2012年からハワイ州観光局の文化啓蒙プログラム「アロハプログラム」講師。著書に「ミステリアスハワイ」(ソニーマガジンズ刊)、「ハワイの不思議なお話」(文踊社刊)、「やさしくひも解くハワイ神話」(フィルムアート社)、「Hawaii 神秘の物語と楽園の絶景ーハワイの人々が愛する100の神話」(パイインターナショナル刊)がある。

☆ブログ「森出じゅんのハワイ生活」>>

☆ハワイ州観光局アロハプログラム>>

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