笑顔の文化が息づくハワイ…フラのすすめ

笑顔の文化が息づくハワイ…フラのすすめ

今月からスタートする、ヌイ・ダイスケさんのフラ・コラム。第一回目はフラの基本情報&フラのすすめ。さあ、あなたもフラの世界へ!

公開日:2012.09.19

更新日:2017.06.14

よしみだいすけのフラナビ・コラム

 Aloha kakou!
 フラに興味を持ってくれた読者のあなた、こんにちは。フラ・ナビゲーター Nui Daisukeです。今月から毎月フラ・コラムを連載させていただきます。よろしくお願いします。

 先日、テレビ番組用のハワイ・ロケで、女優がハワイのフラ教室に参加、地元フラ・ダンサーと一緒にレッスンを受けさせてもらう、という部分の撮影のコーディネートをさせてもらいました。撮影の休憩時間に、本場のフラを初めて見たスタッフが言った言葉がとても印象的でした。

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「踊ってる時のフラダンサーの笑顔、自然で素敵ですね!見てるとなんだか優しい気持ちになります」
そういって素朴な質問を投げかけてきました。
「どうしてずっと笑顔で踊るんですか?」
フラは笑顔で踊るに決まってるよ、それが当たり前になってしまっている僕には、質問がやけに新鮮でした。
初めてフラを観る人には、笑顔で踊っているのが当たり前には見えないのか!? 確かに考えてみれば、笑顔で踊るダンスって意外に少ない。フラメンコ、タンゴ、日本舞踊、ヒップホップ、どれも笑顔のイメージではない。
どうして笑顔で踊るの?という問いに、クムフラはさらりと一言、こう答えました。
「ハワイはね、笑顔の文化なのよ」

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 ハワイ在住の僕は、フラ、ハワイ音楽をはじめとするハワイアン・カルチャーについて、長年雑誌に記事を書いたりラジオ番組を作ったりしてきました。いつしかハワイアン・カルチャー&フラのスペシャリストとして認知され、その方面でのアドバイスを求められたり仕事をいただくようになって10年以上経ちます。ハワイアン・カルチャーの神髄とも言えるフラを自分でも学び、関わることで、多くのことを教えられてきました。(そう、知らない人もいるかもしれないので念のため言っておきますが、男のフラもあるのです。)

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 ここで、押さえておきたいフラの基本情報。

●フラの歴史はどのくらいあるのか
 フラについて残されているもっとも古い文献は1779年に書かれたものです。これはキャプテン・クックがハワイを”発見”した翌年、書いたのはハワイを訪れたディスカバリー号船長ジェームス・キング。彼はその記録の中で、半裸の土着民ハワイアンが群舞で踊る様に感銘を受けています。
 当時のハワイアンがフラを踊る姿は、絵にも記録されていて、すでに相当洗練されたものだったことが伺われます。絵の中で、男も女も踊っています。フラはもともと男の踊りだった、という議論もありますが、確かなことはわかりません。宗教的な儀式で踊られる特定のフラのスタイルは、男性しか踊ることが許されなかった、という事実はあったようです。ハワイアンは西洋文明が入ってくるまで、文字を持たなかったので文献としての記録はありませんが、彼らが口承で伝えた物語にはフラのルーツのことが描かれています。それによれば、遙か昔、ハワイ神話の神々たちの時代、火と火山の女神ペレとその妹ヒイアカが、ハワイ島のオヒアレフアの森の女神が踊るのを初めて見ます。それを見て大変気に入ったペレは、妹にもその踊りをマスターするようにすすめます。その踊りこそ、フラの始まりとされます。

●フラにはどのくらいの種類がある?
 大きく2つの種類に分かれます。ウクレレやギター、ピアノなどの楽器を使う西洋音楽の影響を受けた歌に合わせて踊る現代スタイルのフラを「アウアナ」と呼びます。そして、西洋音楽が入る以前の、打楽器のビートとチャントに合わせて踊る古典スタイルのフラを「カヒコ」と呼びます。このスタイルの変換の時代的境目は1850年ごろ、カラカウア王の時代とされます。ただし、古典フラだけでも36ぐらいのスタイルがあった、とされています。

●フラはどんな歌を踊っているのか
 まず、フラは歌なくして存在しません。言葉あっての踊りです。どんな歌でもフラになり得ます。特定の地域や場所をたたえる歌、王族をたたえる歌、特別な人をたたえる歌、起こった出来事、自然の美しさ、神話のストーリー、恋愛、セックスなどなど。具体的には、この連載で追って紹介します。

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●何歳から何歳まで踊る?
 ハワイのフラ教室は、3歳から入門可、というところが多いです。上は80代まで、踊れる限り、年齢制限はありません。フラ競技会では、年代によって部門分けされます。

13歳以下:ケイキ(子供)
14歳以上:ワヒネ(女性)、カーネ(男性)
45歳以上:クプナ
というのが一般的。ただし競技会によってはワヒネとクプナの間に「グレイシャス・レディース」という部門が設置され、30代後半から50代の女性をクプナと分けることもあります。

 フラについての疑問はつきないので今回はここまで。

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 フラは、何世紀にも渡ってハワイの人たちによって洗練され、伝えられてきた歌と踊りです。ハワイの人たちにとっては、彼らの文化を象徴するとてもパワフルでスピリチュアルな伝統芸能です。フラはいろいろなことを教えてくれます。自然とつながる、家族・先祖を大切にする、自分の住む土地を大切にする、言葉を大切にする、やさしさを尊ぶ、女性らしさを表現する、ということを子供の頃からフラを通じて学んだハワイのフラ・ダンサーが踊るのを見たことがあるでしょうか? 本当にすばらしいフラ・ダンサーの踊りには、人の心を揺さぶるパワーがあります。観る人をやさしい気持ちにして、笑顔にして、傷ついた心を優しく包みこみます。涙を止まらなくさせることもあれば、勇気を与えてくれることもあります。

 もしそのようなフラを見た経験がないのなら、あなたはまだ本当の"HULA"に出会っていません。前出のテレビ撮影スタッフがそうだったように、日々、人々がフラ・ダンサーの踊りと笑顔に心を動かされています。ハワイのみならず日本でも。

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 日本にはすでにたくさんのフラ教室があり、そこでレッスンを受けているさらにたくさんの女性たちがいます。そして、自分に合った教室が見つけられずにいるフラ・ダンサー予備軍もまだまだたくさんいるはずです。そんな日本の女性たちすべてが、人の心を動かす本物のフラを踊るフラ・ダンサーになったら…と、よく妄想します。今、震災の後遺症を抱えた日本の世の中、政治・経済・人々は、明るい希望に満ちているとは言い難い時代かもしれません。そして、こんな時代だからこそ、僕は日本の女性たちに呼びかけたくなります。「フラを踊りませんか?」と。

 フラ・ダンサーは、自然の美しさや、愛する人を思う気持ちを、風にそよぐ椰子の葉のように、寄せては返す波のように、流れるようなモーションで踊ります。笑顔のフラを見ることで、また、笑顔でフラを踊ることで、幸せな優しい気持ちは伝染していきます。フラにはそんな潜在的パワーがあると思うのです。

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 あなたも人を笑顔にするフラ・ダンサーになりませんか?
 その第一歩を今年踏み出してみませんか?

よしみだいすけ
Daisuke Yoshimi
文筆家、フラナビゲーター
ハワイ州観光局アロハプログラム講師、フラやハワイ音楽に傾倒するハワイ・スペシャリストとして、ハワイを拠点に執筆・講演活動を行う。

●著書
たくさんのメレから集めた言葉たち(1〜4)
メレ旅(上下巻)
Live Aloha アロハに生きるハワイアンの教え

公式ホームページ
フラダンサーのためのオンデマンド講座

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