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ハワイ島の山々の神話・伝説

ハワイ島の山々の神話・伝説

ハワイの歴史・文化に詳しいライター・森出じゅんさんのコラム第14回。ハワイ島にあるマウナケア山やキラウエア山にまつわるお話です。

公開日:2020.02.26

更新日:2020.02.28

森出じゅんのハワイ歴史&神話散歩

雪山&火の山も頂く
ハワイ島は神話の宝庫!

ALOHA! ホノルル在住の森出じゅんです。

このところ、ハワイ島東部の街、ヒロによく出かけています。ヒロの街からハワイ島最高峰のマウナケア山(標高4,207m)が見えるのですが、最近はその山頂が雪で覆われており、故郷・横浜から眺める富士山を思い出すこの頃です。

そうなのです! 大陸的なスケールを誇るハワイ島には4,000m級の山が2つもあり(もう1つは標高4,109mのマウナロア山)、その山頂には冬の世界が広がっているのですね。特にマウナケア山には、時にスキーができるほどの積雪があります。

ハワイ島にはまた、火の山、キラウエアも鎮座しています。キラウエア火山は2018年春の大噴火で世界の注目を集めたばかり。今も山頂のハレマウマウ火口からは噴煙があがり、地球の息吹を感じさせてくれています。

海に向かってキラウエア火山から流れる溶岩(2016年8月撮影。火山裾野のカラパナ近くにて)

そんなスケールの大きな自然を誇るハワイ島は、同時に神話の宝庫でもあります。そこで前回に続き、今回はハワイ島シリーズの第2弾! ハワイ島の山々の神話についてお届けしましょう。まずは火の山、キラウエアについてご紹介します。

・ 

ハワイ中に火山があるのは
火山の女神ペレのお陰?

キラウエア火山は、ヒロの街から車で約1時間。標高1,200mとさほど高くはありませんが、世界一活発な活火山ともいわれ、ハワイ島観光の目玉ともなっていますね。キラウエアは炎&火山の女神ペレが住む聖なる山とされ、山頂のハレマウマウ火口には、ペレが一族とともに暮らしていると信じられています。

神話によればペレはタヒチで生まれ、一族を引き連れてハワイに移ってきたとか。タヒチを出立したペレの一行は、まずハワイ諸島北端に近いニイハウ島に到着。ペレは住居として、永遠の炎を燃やし続けるための深い穴を必要としています。ニイハウ島でもさっそく穴を掘り始めたのですが、水が噴き出してきたため、ニイハウ島に住むことは叶いませんでした。次にペレは隣りのカウアイ島に移り、穴を掘ってみましたが、やはり水が噴き出し、あっという間に水浸しになってしまいました。

キラウエア火山の膝元、パホアの街にある女神ペレの壁画

それもそのはず。ペレの姉で海の水の女神ナマカオカハイが、執拗にタヒチからペレを追いかけ、ペレの掘る穴を水浸しにしていたからです。ペレは姉の夫を誘惑したためタヒチを追われた…という説もありますが、どうやらそれは本当のようですね。

こうしてハワイ諸島を北から南に移動しながら、各地に巨大な穴を掘ったペレ。オアフ島のダイヤモンドヘッドやパンチボウルの丘、マウイ島のハレアカラ火山の火口など、ハワイ諸島の火口は、どれもその名残りだそうです。

ですがハワイ島キラウエア火山は海から遠く離れているので、ナマカオカハイに妨害されることなく、無事、深い穴を掘ることができました。ペレはそのハレマウマウ火口を終の棲家と定め、今も兄弟や姉妹と一緒に暮らしているということです。

キラウエア火山の火口の1つ、キラウエア・イキ火口

現代ハワイでも囁かれる
キラウエア火山の伝説

ちなみにペレは怒りっぽくて嫉妬深く、ペレが怒ると火山が噴火するとされています。そんなことから、ハワイにはペレの怒りに触れて岩に変えられた人々の伝説が多々。しかもハワイ島を中心に、女神ペレを敬い、畏怖する人々が今も多いのも事実です。ペレは火山の権化であり、キラウエア火山の存在感の大きさが、女神ペレへの畏怖をも生みだしているといえるでしょう。

実際、キラウエア火山周辺には、今なおペレにまつわるタブーや習慣がいくつもあります。たとえば「オヘロベリーは最初のひと粒をペレに捧げてから食べる」という習慣が1つ。オヘロベリーは火山地帯にたくさん生息する実で、ペレに帰属する神聖な植物。まずペレに捧げてから食べないと、ペレが怒って火山が爆発するのだそうです。

また「キラウエア火山でオヒアレフアの花を摘むと雨が降る。摘んではいけない」というものもあります。神話によれば、オヒアレフアはペレの怒りにふれて溶岩に呑みこまれてしまった恋人たちの似姿とか。ペレはハンサムなオヒアに横恋慕し、その恋人のレフアへの嫉妬に燃え、2人を溶岩流に投げこんでしまったのです。

けれど後に自分の行いを後悔したペレは、2人を1本の木に変えてやりました。たくましいオヒアは幹に、可憐なレフアは真っ赤な花に変化(へんげ)したとか。そのためキラウエア火山でオヒアレフアの花を摘むと、雨が降ると言われています。再び離れ離れになった2人が、涙を流すからです。

火山地帯に育つオヒアレフア

マウナケア山から
永遠に炎が消えたわけ

一方、ハワイ最高峰のマウナケア山頂では、雪の女神ポリアフが3人の美しい妹たちと一緒に暮らしているそうです。ポリアフは輝くような美貌の持ち主で、いつも白のマントを身にまとい、ポリアフの行く先々には常に冷気が漂っているとか。

大昔はマウナケア山でも炎が燃え盛っていたのですが、その炎は消え去り、マウナケア山は死火山となってしまいました。最後の噴火は6000年から4000年前のこと。なぜなら、マウナケア山を舞台に女神ペレとポリアフが激しく戦い、ポリアフが勝利。山から炎を永遠に消し去ったのだそうです。その経緯について、以下のような神話が残っています。

大昔、ポリアフと3人の妹が久々にヘエ・ホルアを楽しもうと、マウナケアの山頂から降りてきました。ヘエ・ホルアとは、古代ハワイで王族に人気を集めたスポーツのこと。山の急斜面に滑りやすい石と草を敷きつめて滑走路を造り、細長い木製そりに腹ばいに寝そべって1キロ以上も滑り降りる、大変ワイルドな遊びです。

ヒロ湾の向こうに見えるマウナケア山

マウナケア山の麓でポリアフ姉妹がヘエ・ホルアを楽しんでいると、ペレがやって来て、正体を隠したまま仲間入りしたのが事の始まりでした。ペレとポリアフはヘエ・ホルアの技量を競いあい、勝利したのはポリアフでした。負けん気の強いペレが怒り、地団駄を踏むと大地震が起こったので、やっとポリアフたちは見知らぬ女の正体に気づいたのでした。

怒れるペレはまずマウナケア山の地下から炎と溶岩を噴出させ、炎を伴いながら山頂へ。山頂は炎に包まれていましたが、ポリアフは慌てて雪のマントを広げ、火を消し去ることができました。その後も炎と雪の女神の戦いは続き、マウナケア山が激しく震撼。ついにポリアフが力を振りしぼり、雪の厚いカーペットで山頂を覆うことに成功しました。

以来、マウナケア山のあるハワイ島北部は雪の女神ポリアフの支配する領域となり、活火山であるキラウエア火山やマウナロア山のある島の南部は、火山の女神ペレの領域となったそうです。

Photo Courtesy of HTA
なおマウナロア山は今も活火山とみなされていますが、その山頂が時々、雪に包まれることがあります(上の写真のマウナケア山奥に見えるのがマウナロア山)。それはポリアフが、たまにペレの陣地に手を出しているから。さすがのペレも、ポリアフのパワーに圧倒されることがあるということですね。

 

新刊「やさしくひも解くハワイ神話」のお知らせ

最後に、嬉しいお知らせが1つ。実は2月26日(水)より、新刊「やさしくひも解くハワイ神話」が発売になりました! ハワイ神話の入門書として、40以上の神話を網羅したこの1冊、お手に取っていただけたら嬉しいです。現在、全国の書店やオンラインショップで発売中です。

書籍は、横浜みなとみらいのアロハストリート・ショップでもお買い求めいただけます! どうぞよろしくお願いいたします。

 

森出じゅん/JUN MORIDE プロフィール

オアフ島ホノルル在住。横浜出身。青山学院大学法学部卒業後、新聞・雑誌・広告のライターとして活動。1990年、ハワイ移住。フリーランスのジャーナリストとして活動するかたわら、ハワイの文化や歴史、神話・伝説、民間伝承を研究中。単に「美しいハワイ」にとどまらないハワイの奥深い魅力、真の姿を日本に発信すべく、執筆を続ける。2012年からハワイ州観光局の文化啓蒙プログラム「アロハプログラム」講師。著書に「ミステリアスハワイ」(ソニーマガジンズ刊)、「ハワイの不思議なお話」(文踊社刊)がある。

☆ブログ「森出じゅんのハワイ生活」>>

☆ハワイ州観光局アロハプログラム>>

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