第17回 州知事公舎の「ワシントン・プレイス」
30有余年の歴史を誇るハワイのローカル情報誌「
イースト・ウエスト・ジャーナル」に掲載された好評コラム「ホノルル点描」を毎週ご覧いただけるようになりました。ホノルルの街のさまざまな風景を繊細なタッチで描いた印象深い1枚のスケッチに、あなたは何を思うでしょう?
ハワイ州政庁の向かいに建つ低木に隠れた白く堂々とした邸宅。ワシントン・プレイスは、ハワイ王国の最後の女王・リリウオカラニが余生を送った場所である。 この建物は1846年にニューヨーク出身の商船船長ジョン・ドミノスによって建てられた。 竣工後間もなくドミノス氏はシナ海で行方不明になり、ドミノス邸は妻のメリーと息子のジョン・オーウェンに受け継がれた。
その後、アンソニー・テンヤックというアメリカ長官が来布し邸宅の客室に宿泊した際、この白い建物を見て、「マウントバーノンのジョージ・ワシントン大統領邸にそっくりだ」と言った事から、このドミノス邸はワシントン・プレイスと呼ばれるようになった。
ジョン・オーウェン・ドミニスは成人後カメハメハ5世により王国政府の高官に任命され、そしてリディア・カパアケア(後のリリウオカラニ女王)と結婚。 だがジョン・オーウェンは結婚後間もなく亡くなってしまった。 王国動乱さなか、リリウオカラニ女王がイオラニ宮殿に監禁された際、ワシントン・プレイ スは王政復古支持者の拠点、そして反逆の戦闘武器の隠し場所として利用され た。 王位剥奪後、女王は宮殿からワシントン・プレイスに移り住み、1917年に逝去するまでの余生を送った。 その後は、歴代のハワイ州知事の官邸となった。
外観は当時流行していた真っ白なギリシア復活様式。内装は曲線を使った繊細で優美なロココ様式の応接間、ドミノス氏が妻メリーのために中国で購入した家具で飾られた青の間など、各室様々な豪華家具で飾られている。リリウオカラニ女王はコアの木で作られたグランドピアノで有名な「アロハ・オエ」などを作曲した。 1922年に増築されたダイニングルームは24席あり、ベー ブ・ルース、クイーン・エリザベス、プリンス・フィリップや日本天皇などの著名人物たちが正餐をとった歴史を持つ。
2001年に、ベンジャミン・カエタノ州知事とヴィッキー・カエタノ夫人が基金を募り、隣接して新しい知事官邸を建設、リリウオカラニ女王にまつわる重要な歴史を持つ旧ワシントン・プレイスを記念館として公開することを望んだ。 現在、新ワシントン・プレイスにはリンダ・リングル州知事が居住し、旧 ワシントン・プレイスはハワイの歴史を学びたい人たちに無料で開放されている。
西川幸夫 プロフィール
1939年生まれ、1961~1994年、新日本製鉄に勤務。北九州や欧州の風景をスケッチ・淡彩画で製作。
北九州でスケッチ・淡彩画教室「四季彩」を主宰。郵便局の官製はがき9シリーズでもおなじみ。他に「ふるさと12景」のカレンダー画をはじめ、書籍の表紙画や挿絵を手がけその仕事は広範囲にわたる。
現在、山口新聞に「長門101景」、ハワイのローカル情報誌イースト・ウェストジャーナルに「ホノルル点描101景」、佐賀市「市報さが」に[思いでの風景]を連載中。
著書に画集「北九州101景」、画集「寅さんが旅した風景」、画集「延岡やすらぎ101景」がある。
2008年6月出版予定の画集「新北九州101景」、2009年秋出版予定の松本清張生誕100年祭 画集「清張紀行101景」(仮称)を目指し取組み中。