第15回 カーネギーの寄付で建てられた「ハワイ州立図書館」
30有余年の歴史を誇るハワイのローカル情報誌「
イースト・ウエスト・ジャーナル」に掲載された好評コラム「ホノルル点描」を毎週ご覧いただけるようになりました。ホノルルの街のさまざまな風景を繊細なタッチで描いた印象深い1枚のスケッチに、あなたは何を思うでしょう?
イオラニ・パレス右隣りにあるハワイ州立図書館は、アメリカの大富豪・アンドリュー・カーネギーの寄付によって建てられたものである。
カーネギー一家は1835年にスコットランドからアメリカに移民してきた。アンドリュー・カーネギーは幼い頃から綿製造所の電報配達人として働き、後に一代で製鋼会社を立ち上げ、当時の世界第2位の大金持ちになる程の財産を築いた人物である。 引退後は慈善活動に生涯を捧げ、特に彼の図書館創立の情熱は、その愛称「アメリカ公立図書館の父」に反映される。
ハワイ州がカーネギーから10万ドルの図書館建造費を受け取ったのは1909年である。 建物のデザインはカーネギーの義兄弟ヘンリー・ウィット フィールドが担当、そしてローカルの建築家H・L・カーが監督し、周囲に巡る柱列が特徴のギリシャ・ローマスタイルで統一した。
1920年代にはホノルルの建築家C・W・ディッキーのデザインで、三側面を拡張し、中庭つきの四角形に増築した。団扇状の葉を広げるロウルヤシ、花のような白い包みをつけるスパティフィラム、巨木に育つオーストラリアンシダなどの見事な熱帯植物のコレクションを持つ中庭は図書館利用者の憩いの場である。
1990年には15億ドルを費やしてエアコン、ハンディキャップ設備、3階の増築などの改装を施した。3万冊の寄付図書から始まった州立図書館の現在の図書数はおよそ55万冊で、資料などは1億を超える。カーネギーが残してくれたこの美しい建物は、国の歴史的建造物として登録されている。
西川幸夫 プロフィール
1939年生まれ、1961~1994年、新日本製鉄に勤務。北九州や欧州の風景をスケッチ・淡彩画で製作。
北九州でスケッチ・淡彩画教室「四季彩」を主宰。郵便局の官製はがき9シリーズでもおなじみ。他に「ふるさと12景」のカレンダー画をはじめ、書籍の表紙画や挿絵を手がけその仕事は広範囲にわたる。
現在、山口新聞に「長門101景」、ハワイのローカル情報誌イースト・ウェストジャーナルに「ホノルル点描101景」、佐賀市「市報さが」に[思いでの風景]を連載中。
著書に画集「北九州101景」、画集「寅さんが旅した風景」、画集「延岡やすらぎ101景」がある。
2008年6月出版予定の画集「新北九州101景」、2009年秋出版予定の松本清張生誕100年祭 画集「清張紀行101景」(仮称)を目指し取組み中。