この1冊でウクレレのすべてがわかってしまうと言っても過言でないほど、充実したウクレレ専門のムックが発売されました。そんな折、著者の鈴木修一さんがハワイに滞在中という情報を入手。インタビューをお願いし、お話を伺いました。
著者プロフィール
鈴木修一
ウクレレのCD制作や音源制作、輸入販売などをてがけるクリエイティブ集団「東京HALE」の代表。ハワイの情報サイト8011web.comも運営する。スローなハワイライフを日本で広めるべく、音楽ソフトやハワイ情報を発信し続ける。ちなみにハワイではハワイアナホテルを定宿としている。「お部屋とプールが近くて便利。年配の方のご利用が多く落ち着きます」。
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「ザ・ウクレレブック/Ukulele Book」 サンエイムック 定価2,476円
編集部:
2月にハワイでウクレレ・ピクニックというイベントがありました。日本とハワイの著名なアーティストが参加し、とっても楽しい企画で観客の方々もリラックスして楽しんでいた様子です。日本でのウクレレ人気はいかがなのでしょうか?
鈴木:
年々プレイヤーが増えています。昔は専門店にしかなかったのですが、最近は楽器屋でも取り扱っていて、しかも売れ筋の楽器だということです。年配の方で、昔ギターをやっていたのでもう一度弦楽器をとウクレレを始める方も多いそうです。ギターに比べて比較的安価ですから、ご主人のお小遣いの範疇で購入できます。さらに音も静かなうえ、やさしい音色で癒し効果も十分。最初は奥様にチクチクと言われても、上手になるにつれて納得してくれるそうです(笑)。もちろん、フラブームも大きく影響しています。
編集部:
鈴木さんも癒し効果を家庭で発揮していますか?(笑)
鈴木:
私はまだまだ触る程度です。
編集部:
なぜウクレレの専門書を発行しようと思ったのでしょうか。
鈴木:
もともとハワイに関する情報サイトをやっていまして、ウクレレのことはもちろん存じていました。そのウエブで、著名なクムフラやアーティストにインタビューをしてきまして、ヒントが生まれたのです。さらに、3年ほど前にウクレレコレクターのジェームス・コジローさんと出会い、彼のコレクションを日本の皆さんに紹介したいと思いました。ウクレレに関する教則本は既にあるのですが、読み物として、特に未経験の人が興味を持ってくれるような情報を本にまとめてみたら面白いかな、と。企画書にまとめて出版社に持っていったら話がまとまり…。
編集部:
確かにこの本には楽譜や弾き方の教えがないですね。それよりもウクレレプレイヤーやメーカーや工房の訪問レポートなど、これまであまり知ることのなかった情報がぎっしりと書かれてますもんね。取材も結構大変だったのではないでしょうか?
鈴木:
「この本を読んでもウクレレはうまくなりません、でも、ウクレレが大好きになります」と説明するときに言っています。取材では約3週間ハワイに滞在しました。実は最初これほどの人選は固まってなかったんです。ところが取材を重ねるうちに、「あの人には会ったのか?」とか聞かれ、知らない時には紹介までしてくださって。ウクレレ・ネットワークの輪に助けられました。またハワイのウクレレの3大メーカーであるカマカ、コアロハ、Gストリングにも訪れ、お話を聞くだけでなく工房で実際にウクレレを作るところを紹介できました。普通、工房には門外不出の非公開の部分があってガードが固いと思っていたら、「秘密は無いから何でも見ていってね」と、とってもオープンでさすがハワイだと思いました(笑)
IZへの想いがたっぷりと聞けた、ジョン・デ・メロへのインタビュー
編集部:
さすがハワイ、みなアロハの精神で取材を助けてくれたんですね。3大メーカー以外にも地元の工房がいくつか紹介されていて、それぞれに読むたびにフムフムと感心してしまいました。そして6人のプレイヤーとミュージックシーンに欠かせないリーダーも登場します。
鈴木:
ジョン・デ・メロとケネス・マクアカネに話を聞くことが出来ました。ジョン・デ・メロはハワイで最も大きなレコード会社のオーナーですが、クムのケリー・タウア氏に「その様な本を作るなら、絶対ジョンに会いなさい」と言われました。多忙な人ですから断られるだろうと思いましたが、直接連絡してみたところ快く話を聞かせてくれました。私は、IZ(イズラエル・カマカヴィヴォオレ)の大ファンなので、彼のアルバムをプロデュースしている彼に出会うのは楽しみでした。1つIZのことを質問すると10程の答えが返ってきて、本当にジョンがIZのことを思っていることが伝わってきました。とても沢山のエピソードを話してくれて、うれしかったですね。ウクレレの話よりもIZの話になってしまい、まとめるのに苦労しましたが、とても良いインタビューになっていると満足しています。写真も快く貸していただき本当に感謝しています。ケネスの話もハワイの音楽事情がよくわかるインタビューだと思います。
編集部:
最後は伝統を守る人ということで、クムフラが登場しますね。
鈴木:
そうですね。やはりフラとウクレレは切り離せないものですし。読んでいただくとわかるのですが、実はこうした重鎮の方々はトラディショナルなハワイ文化としてのウクレレをとても大切にしているんです。だからコンテンポラリーな今のウクレレ・スタイルをあまり好んでない方もいます。それはそれでこだわりの部分として非常に興味深かったですし、同時にウクレレの持つ幅の広さに気づかされました。
編集部:
他にも見所がいっぱいですよね。ブルース・シマブクロが演奏するDVD付きという豪華な付録も付いてますね。
鈴木:
そうですね。まずウクレレに興味をもってもらう、そして手にとって欲しいというのがこの本の狙いだったので、ビジュアル面も楽しくなければいけないかなと。ということで様々なウクレレを写真で紹介しています。そして見るだけでなく音色を簡単に耳で体感できるよう、DVDを付けました。古くは1920年代に製作されたものなど9つのヴィンテージ・ウクレレの音を聞くことができます。他にも3大ウクレレ・メーカーへのインタビューや、ミュージシャンのライブが収録されていて、この本はかなりお得だと思います(笑)
編集部:
ユニークなウクレレとして、リンドバーグの大西洋単独無着陸飛行の記念の1本や、カメの甲羅が使われたもの、そしてハワイファンにはおなじみのスパムの缶をかたどったものなど、面白いものもありました。ハワイ以外にもウクレレは作られているのですか?
鈴木:
日本にも多くのウクレレのメーカーがあり、とても素晴らしい楽器を作っています。音はもちろん、モノとしての精度もハワイをはるかに凌いでいます。メインランドでもマーティンをはじめ多くのメーカーがあります。そのことを知っていても、私は今回の取材を通じて、ウクレレはハワイの楽器だと改めて思い知らされました。ハワイには、ウクレレの神様が確かにいると思いました。是非、楽器屋さんなどでいろいろなウクレレを弾かせてもらって、それぞれのウクレレが持っている想いを感じて欲しいと思います。日本では夏のイメージが強いウクレレですが、とても素晴らしい趣味になると思います。
編集部:
なるほど。ハワイでは年中ウクレレを弾く姿を目にしますので、ちょっと意外でしたね。でも通年で楽しめる趣味としてはピッタリなんじゃないでしょうか。今日は楽しいお話をありがとうございました。この本を通じて1人でも多くの人がウクレレを始めるきっかけになるといいですね。
鈴木:
そうですね。ハワイ、日本のみならず、いまやアメリカ本土でもウクレレファンは急増しています。15分あれば一曲弾けるようになる入りやすさがありますが、奥はとても深い楽器です。
音色やハワイという場所柄レトロで遊び的なイメージですが、プレイスタイルもプレイヤーもまだまだ広がりを見せる、魅力たっぷりの本格的楽器なんです。
編集部:
今日はどうもありがとうございました。
インタビューを終えて
実は鈴木さんが運営されるウエブサイトの取材で、ある方のインタビューの立会いとして私は一度お会いしたことがありました。そのときはインタビューする側として丁寧に細かいことをお聞きになっていたのですが、とてもハワイが好きな方だなーという印象を持ちました。そういうハワイファンの方が企画する本だからこそ、ウクレレのキーパーソンから興味深いコメントを引き出し、また誰かを紹介されるという幸運にも恵まれたのでしょう。一過性のブームではなく世界に広がっているというウクレレ。旅先にウクレレを一本持っていくと地元で交流が深まったりする、そんな日も遠くないかもしれません。
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